お知らせ[研究]_澳门赌场
/whatsnew/news_kenkyu
daily
1
2018/03/15 15:50:00 GMT+9
-
GAPPSにおける胃癌発生に関わる遺伝子変異の解明_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20251028
<![CDATA[<p><strong>(ポイント)</strong></p>
<ul>
<li>GAPPSは、遺伝的に胃ポリープが多発し、胃癌リスクの高い疾患である遺伝性胃ポリポーシス症候群の一つで、特異的な臨床像を呈する。</li>
<li>GAPPSにおいて原因遺伝子である<span>APC</span>の体細胞変異がポリープおよび癌に認められ、<span>KRAS</span>変異は癌に特異的に生じることを発見した。<span>GAPPS</span>の発癌は一般的な胃癌とは異なる発癌メカニズムを有している可能性がある。</li>
<li>本研究の成果により、<span>KRAS</span>変異が<span>GAPPS</span>発癌の有望なバイオマーカーとなる可能性が示された。</li>
</ul>
<p/>
<p><strong>(概要説明)</strong></p>
<p>熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学 岩槻政晃教授、松本千尋医員、九州大学別府病院外科 三森功士教授、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターゲノム医科学分野 柴田龍弘教授、新井田厚司講師、高橋数冴助教らの研究グループは、<span>Gastric adenocarcinoma and proximal polyposis of the stomach</span>(<span>GAPPS</span>)と呼ばれる遺伝性胃癌について、<span>RNA</span>シークエンス<sup>*1</sup>および全エクソームシークエンス(<span>WES</span>)<sup>*2</sup>を用い、<span>GAPPS</span>の発癌に関与する遺伝子変異を明らかにしました。</p>
<p>GAPPSの原因遺伝子として、<span>APC</span>のプロモーター<sup>*3</sup>領域の生殖細胞変異<sup>*4</sup>は既に報告されていましたが、ポリープから癌へと進展する過程でどのような遺伝子変異がどのように蓄積していくのかは、これまで明らかではありませんでした。</p>
<p>今回の共同研究により、<span>GAPPS</span>のポリープには癌抑制遺伝子<span>APC</span>の体細胞変異<sup>*5</sup>が認められ、さらに癌では<span>APC</span>変異に加えて癌遺伝子<span>KRAS</span>の体細胞変異が蓄積していることを世界で初めて明らかにしました。これらの知見は、基礎的には胃癌の発症機序の理解を深める上で有用であり、臨床的には常に発癌リスクを抱える<span>GAPPS</span>家系において、癌の早期発見および治療介入の実現につながる可能性が期待されます。</p>
<p>本研究成果は<span>2025</span>年<span>10</span>月<span>28</span>日に科学雑誌「<span>Proceedings of the National Academy of Sciences</span>(<span>PNAS</span>)」に掲載されました。</p>
<p>本研究は、科学研究費助成事業、日本胃癌学会、および高松宮妃癌研究基金の支援を受けて実施されたものです。</p>
<p><strong/></p>
<p><strong>(説明)</strong></p>
<p>[背景]</p>
<p>Gastric adenocarcinoma and proximal polyposis of the stomach(<span>GAPPS</span>)は、胃体部から胃底部に限局して多数の胃底腺ポリープ(<span>Fundic gland polyps</span>:<span>FGP</span>)を形成し、そこから発癌を来す遺伝性腫瘍症候群です。<span>2012</span>年に初めて報告されて以降、欧米および日本からの報告が増加しています。<span>2016</span>年には、<span>APC</span>プロモーター<span>1B</span>領域の点変異が原因遺伝子変異として同定されましたが、正常胃粘膜からポリープ、さらには癌への進展における遺伝子変異の獲得や経路活性化の詳細は未解明であり、その発癌メカニズムは不明でした。熊本大学消化器外科では<span>2015</span>年に<span>1</span>例目を経験し、これまでに<span>6</span>家系<span>11</span>例の治療経験を有しています(図<span>1</span>)。これらの貴重な臨床サンプルをすべて保存し、網羅的な遺伝子解析を行いました。</p>
<p>?</p>
<p>[研究の内容]</p>
<p>本研究は、<span>GAPPS</span>における腫瘍進展過程に関わる遺伝子変異と発現変化を明らかにすることを目的として実施しました。熊本大学病院で診断された<span>GAPPS</span>患者<span>7</span>例(<span>3</span>家系)から、正常胃粘膜?ポリープ?癌の計<span>54</span>検体を取得し、全エクソームシークエンス(<span>WES</span>)および<span>RNA</span>シークエンスを行い、<span>GAPPS</span>の発癌に関与する遺伝子変異および発現の変化を解析しました。</p>
<p>?</p>
<p>[成果]</p>
<p>WESによる変異解析の結果、ポリープの<span>53.8</span>%、癌の<span>78.6</span>%に<span>APC</span>の体細胞変異が認められました(図<span>2</span>)。さらに、癌には特異的に<span>KRAS</span>変異が起きていることが明らかとなりました。これらの<span>APC</span>および<span>KRAS</span>の変異は、症例間のみならず同一症例内の異なる癌にも認められ、<span>GAPPS</span>の発癌に関与している可能性が示唆されました(図<span>3</span>)。また、<span>RNA</span>による発現解析の結果、<span>KRAS</span>関連シグナルの有意な活性化が癌において特異的に認められ、一般的な胃癌との比較でも、<span>KRAS</span>関連経路が<span>GAPPS</span>の癌に特異的な活性経路であることが確認されました(図<span>4</span>)。</p>
<p>?</p>
<p>[展開]</p>
<p>本研究は、疾患概念が普及し、症例が増えている<span>GAPPS</span>の発癌過程における<span>APC</span>および<span>KRAS</span>の共変異の意義を明らかにし、<span>KRAS</span>変異が有望なバイオマーカーとなる可能性を示しました。この成果は、<span>ctDNA</span><sup>*6</sup>を用いた早期診断や、治療方針への応用が期待されます。</p>
<p/>
<p>[用語解説<span>]</span></p>
<p>*1 RNAシークエンス:細胞内のRNAの配列と量を網羅的に解析する手法。</p>
<p>*2 全エクソームシークエンス(<span>WES</span>):ヒト全ゲノムの中で、タンパク質をコードする領域(エクソン)だけを対象にDNAを解析する方法。</p>
<p>*3 体細胞変異:細胞で後天的に生じる遺伝子変異。</p>
<p>*4 プロモーター:転写を開始させるタンパク質が結合するDNA領域であり、遺伝子発現の調節を行う。</p>
<p>*5 生殖細胞変異:精子や卵子などの生殖細胞に生じた遺伝子の変異。この変異は親から子へ遺伝し、家族性?遺伝性の疾患の原因となる。</p>
<p>*6 <span>ctDNA</span>:血液中に存在する腫瘍由来の<span>DNA</span>断片で、これらを解析することで癌の早期発見や再発、転移のモニタリングを行うことができる。</p>
<p/>
<p>【論文情報】</p>
<p>論文名:<span>Genomic and transcriptomic landscape of carcinogenesis in patients with gastric adenocarcinoma and proximal polyposis of the stomach (GAPPS)</span></p>
<p>著者:<span>Chihiro Matsumoto, Kazuki K Takahashi, Masaaki Iwatsuki, Noriko Yasuda-Yoshihara, Atsushi Niida, Kohei Yamashita, Takeshi Morinaga, Kojiro Eto, Shiro Iwagami, Satoshi Ida, Hiromu Yano, Yoshihiro Komohara, Yuji Miyamoto, Takaaki Masuda, Yasuhito Tanaka, Koshi Mimori, Hideo Baba</span></p>
<p>掲載誌:<strong><em>Proceedings of the National Academy of Sciences</em></strong></p>
<p>doi:<span>10.1073/pnas.2427133122</span></p>
<p>URL:<a href="https://doi.org/10.1073/pnas.2427133122">https://doi.org/10.1073/pnas.2427133122</a></p>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20251028.pdf">プレスリリース</a>(PDF451KB)</p>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学大学院生命科学研究部</p>
<p>消化器外科学</p>
<p>担当:教授 岩槻政晃</p>
<p>電話:<span>096-373-5212</span></p>
<p>e-mail:<a href="mailto:maiwa217@kumamoto-u.ac.jp">maiwa217@kumamoto-u.ac.jp</a></p>
</address>]]>
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研究
2025/10/28 09:10:00 GMT+9
ページ
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Staple核酸を用いた新規核酸医薬技術 「RNAハッキング」を開発 ―mRNAの立体構造制御により高精度な遺伝子発現抑制を実現―_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20251027
<![CDATA[<p><strong>(ポイント)</strong></p>
<ul>
<li>日本発の独自機序:従来のRNAiやアンチセンス核酸と異なり、生体内酵素に依存せずRNA構造そのものを改変して薬効を発揮。</li>
<li>高い標的選択性:薬効発揮に配列選択的結合とrG4構造誘導の二つの要件が必要であるため、オフターゲット由来の副作用リスクを大幅に低減。</li>
<li>人工核酸化が容易:薬効を落とさず完全非天然核酸化できるので、高い体内安定性と薬効持続性を両立。</li>
</ul>
<p/>
<p><strong>(概要説明)</strong></p>
<p>熊本大学、弘前大学、名古屋大学、神戸薬科大学および㈱StapleBioを中心とする共同研究グループは、標的mRNAを高精度に認識?結合するStaple(ステープル)核酸<sup>*</sup><sup>1</sup>により、極めて安定なRNA G-quadruplex構造(rG4構造)<sup>*2</sup>を人為的に誘導し、標的タンパク質の翻訳を強力かつ選択的に抑制する新技術「RNAハッキング(RNAh)<sup>*3</sup>」を開発しました。</p>
<p>本技術は、従来のRNA干渉(RNAi)やアンチセンス核酸医薬とは異なり、生体内酵素反応に依存せずに薬理効果を発揮するため、化学修飾核酸を自在に適用できます。これにより、生体内でのオフターゲット効果や生体内不安定性などといった従来の核酸医薬が抱えていた課題を克服する革新的な核酸医薬として期待されます。本研究成果は2025年10月15日に<em>Nature Biomedical Engineering</em>に掲載されました(掲載情報は下記参照)。</p>
<p/>
<p>[今後の展開]</p>
<p>本技術は標的選択性と化学修飾最適化の自由度を併せ持つ新しい核酸医薬プラットフォームとして、心疾患や種々の希少遺伝性疾患への応用が期待されます。研究グループは創薬スタート?アップ株式会社 StapleBio(2021年11月設立)を基盤に、臨床応用を推進しています。</p>
<p/>
<p>[用語解説<span>]</span></p>
<p><sup>*<span>1</span></sup><strong>Staple</strong>(ステープル)<strong>核酸</strong>:標的<span>RNA</span>の二つの離れた部位に配列選択的に結合することで、離れて存在するグアニン繰り返し領域を“ホッチキス留め”のように近接化し、<span>rG4</span>構造などを誘起する短鎖核酸。</p>
<p><sup>*<span>2</span></sup> RNA <strong>G-quadruplex</strong>(rG4)<strong>構造</strong>:グアニンが豊富な領域で形成される熱力学的に極めて安定性の高い核酸四重鎖構造。</p>
<p><sup>*<span>3</span></sup><strong>RNA</strong><strong>ハッキング</strong>(RNAh):短鎖核酸(Staple核酸)で標的<span>RNA</span>の高次構造に人為的に変化を与え、<span>RNA</span>機能を制御する技術。<sup/></p>
<p/>
<p>【論文情報】</p>
<p>論文名:Staple oligomers induce stable RNA G-quadruplex structure for protein translation inhibition in therapeutics</p>
<p>著者:Yousuke Katsuda*, Takuto Kamura, Tomoki Kida, Rinka Ohno, Shuhei Shiroto, Yua Hasegawa, Kaito Utsumi, Yuki Sakamoto, Shinichiro Nakamura, Taishi Nakamura, Kenichi Tsujita, Yusuke Kitamura, Yukiko Kamiya, Hiroyuki Asanuma, Toshihiro Ihara*, Masaki Hagihara*, and Shin-ichi Sato*</p>
<p>掲載誌:<em>Nature Biomedical Engineering</em></p>
<p>doi:10.1038/s41551-025-01515-4</p>
<p>URL:<a href="https://www.nature.com/articles/s41551-025-01515-4">https://www.nature.com/articles/s41551-025-01515-4</a></p>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release251027.pdf">プレスリリース</a>(PDF319KB)</p>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学 総務部総務課広報戦略室</p>
<p>電 話 : 096-342-3269</p>
<p>e-mail: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>
</address>]]>
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研究
2025/10/27 10:00:00 GMT+9
ページ
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肝障害の悪化に“免疫細胞の鉄”が関与―治療法開発に新たな視点―_澳门赌场
/whatsnew/seimei/copy_of_20251024
<![CDATA[<p>【本研究成果のポイント】</p>
<p>?CD11c<sup>+</sup>骨髄系免疫細胞における鉄の過剰蓄積が、アセトアミノフェン誘導性肝障害を著しく悪化させることを明らかにしました。</p>
<p>?鉄代謝制御酵素<span>FBXL5</span>を<span>CD11c<sup>+</sup></span>細胞で欠損させたマウスモデルを用い、免疫応答や肝傷害の変化を詳細に解析しました。</p>
<p>?鉄過剰により<span>IL-6</span>の産生が亢進し、好中球の肝臓への浸潤を促進することで炎症と組織障害が増悪する新たな病態機構を解明しました。</p>
<p><span>?免疫細胞内の鉄の代謝を標的とすることで、薬剤性肝障害を含む炎症性疾患に対する新たな治療戦略となる可能性を示しました。</span></p>
<p>【概要説明】</p>
<p>東京科学大学(<span>Science Tokyo</span>)総合研究院 難治疾患研究所 細胞動態学分野の諸石寿朗教授、熊本大学 分子薬理学講座 金森耀平助教、刘赛赛博士課程学生らの研究チームは、<strong>CD11c<sup>+</sup></strong>(用語<span>1</span>)骨髄系免疫細胞における鉄の過剰が、<strong>アセトアミノフェン</strong>(用語<span>2</span>)による急性肝障害を悪化させることを明らかにしました。</p>
<p>本研究では、細胞の鉄調節に重要な役割を果たす遺伝子<strong>FBXL5</strong>(用語<span>3</span>)を、<span>CD11c<sup>+</sup></span>骨髄系免疫細胞に特異的に欠損させたマウスを作製し、鉄過剰状態にある免疫細胞が肝障害の病態進行に及ぼす影響を解析しました。その結果、<span>FBXL5</span>欠損マウスでは炎症性サイトカイン<strong>IL-6</strong>(用語<span>4</span>)の発現が著しく上昇し、<strong>好中球</strong>(用語<span>5</span>)の肝内への浸潤が顕著に認められました。これに伴い、肝炎症状が悪化し、死亡率も増加しました。さらに、<span>IL-6</span>中和抗体を投与することで肝障害の軽減が確認され、<span>IL-6</span>が病態悪化において重要な役割を果たすことが示されました。</p>
<p>アセトアミノフェン中毒による急性肝障害は、進行すると命に関わる肝不全を引き起こすことがあります。これまで免疫細胞の関与は知られていたものの、鉄代謝がその機能に与える影響については十分に明らかにされていませんでした。本研究は、鉄が免疫応答を促進し、炎症を悪化させる仕組みを解明したものです。今後は、免疫細胞内の鉄制御を標的とした新たな肝保護療法の開発が期待されます。</p>
<p>本成果は、東京科学大学 制がんストラテジー研究室との共同研究によって得られ、<span>10</span>月<span>21</span>日(現地時間)付で「<em><span>Communications Biology</span></em>」誌に掲載されました。</p>
<p/>
<ul>
<li><strong>付記</strong></li>
</ul>
<p> 本研究成果は日本学術振興会(<span>23K18098, 24H00864, 24H00865, 22K15396, 24K10094</span>)、科学技術振興機構(<span>JPMJFR226J</span>)、加藤記念バイオサイエンス振興財団の支援を受けて実施したものです。</p>
<p>?</p>
<p><strong>【参考文献】</strong></p>
<ul>
<li><span>1016/j.cld.2013.07.001</span></li>
<li><span>1038/nrgastro.2015.200</span></li>
<li><span>1038/nri3771</span></li>
</ul>
<p><strong>?</strong></p>
<p><strong>【</strong><strong>用語説明】</strong></p>
<ul>
<li><strong>CD11c</strong>:主に樹状細胞や一部のマクロファージなど、骨髄系免疫細胞に発現する分子で、免疫応答において司令塔のような役割を果たす。</li>
<li><strong>アセトアミノフェン</strong>:解熱鎮痛薬。過剰に摂取すると肝障害を引き起こす可能性がある。</li>
<li><strong>FBXL5</strong>:細胞内の鉄濃度を感知し、過剰な鉄の蓄積を防ぐ働きを持つ酵素。この酵素が機能しないと、細胞内に鉄が過剰に蓄積する。</li>
<li><strong>IL-6</strong>:炎症時に産生されるサイトカインで、好中球の動員や免疫応答の悪化に関与する。</li>
<li><strong>好中球</strong>:感染や炎症部位に素早く集まり、病原体や壊死組織の除去する免疫細胞。過剰に活性化されたり、炎症部位に過剰に集積したりすると、炎症の悪化や組織障害を引き起こす可能性がある。</li>
<li><strong>ALT</strong><strong>(アラニンアミノトランスフェラーゼ)</strong>:肝臓が障害を受けた際に血中で増加する酵素で、肝機能を評価する代表的な血液検査項目。</li>
<li><strong>NF-κB</strong>:炎症性遺伝子の発現を調節する転写因子で、免疫応答において中心的な役割を担う。</li>
</ul>
<p><strong>【論文情報】</strong></p>
<p>掲載誌:<em><span>Communications Biology</span></em></p>
<p>論文タイトル:<span>Iron overload in CD11c<sup>+</sup> myeloid cells exacerbates acetaminophen hepatotoxicity</span></p>
<p>著者:<span>Saisai Liu, Yohei Kanamori, Yudai Ohta, Shuran Li, Yanliang Liu, Hao Li, Mohamed Fathi Saleh,<sup> </sup>Akihiro Nita, Keiichi I. Nakayama, Toshiro Moroishi</span></p>
<p>DOI:<span>10.1038/s42003-025-08521-x</span></p>
<p>【詳細】 <a style="background-color: #fafafa;" href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20251024.pdf">プレスリリース</a>(PDF497KB)</p>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学 大学院生命科学研究部 分子薬理学講座 </p>
<p>担当:(助教) 金森 耀平</p>
<p>Email: kanamori@kumamoto-u.ac.jp</p>
<p>TEL: 096-373-5173 <span>FAX: 096-373-5313</span></p>
<p/>
</address>]]>
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研究
2025/10/24 09:35:00 GMT+9
ページ
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熊本大学新棟「SOIL」オープンラボ入居第一号!_澳门赌场
/whatsnew/sizen/251023
<![CDATA[<p> 令和7年10月1日に熊本大学にオープンラボ施設として新設された「<span>SOIL</span>」棟に、本学半導体?デジタル研究教育機構の百瀬健教授と共同研究を行っている長州産業株式会社が第一号として入居されたことに伴い、令和7年10月17日に「長州半導体製造装置開発センター(<span>CSD</span>)」の開所式典を開催しました。</p>
<p> センターは<span>2027</span>年度までの<span>3</span>年間で、<span>SCFD</span>(超臨界流体薄膜堆積法)による半導体デバイス製造装置の自動化実現に向けた要素技術を百瀬教授の技術をベースとして共同研究にて開発していきます。その後、この開発成果を活用して<span>SCFD</span>量産装置のプロト機を開発、各要素技術をブラッシュアップしていくことにより量産機を制作し、事業化を目指していきます。</p>
<p><img src="/whatsnew/sizen/sizeninfo_file/8744hn/@@images/5274d242-3c3b-4921-a7bb-b72d4c313a4f.jpeg" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="SOIL開所式①.JPG" height="329" width="498" alt="SOIL開所式①.JPG" class="image-inline"/></p>
<p style="text-align: center;"><img alt="" src="../../../resolveuid/56423a1f6d114d809cf150bb6b83359d/@@images/image/large" class="image-inline"/>式典にて執り行われたテープカットの様子</p>
<p/>
<p><img alt="" src="../../../resolveuid/2c2540fe476447bba8bd1e6d85e8a746/@@images/image/large" class="image-inline"/><img src="/whatsnew/sizen/sizeninfo_file/dixjdu/@@images/a690ce36-c4f9-4691-9812-1aa8bbe43186.jpeg" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="SOIL開所式②.JPG" height="334" width="504" alt="SOIL開所式②.JPG" class="image-inline"/></p>
<p style="text-align: center;"> 参加者全員での記念撮影の様子</p>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>
<p/>]]>
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研究
その他
2025/10/23 14:15:00 GMT+9
ページ
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[新種発?] ヤドカリの「宿」を作る “淡い桃?”のイソギンチャク ―万葉集に詠まれた「愛する気持ち」を名前に―_澳门赌场
/whatsnew/sizen/20251021
<![CDATA[<p><strong><img src="/whatsnew/sizen/sizeninfo_file/20251022.jpg/@@images/c4d15779-dd51-4ef0-866a-b0fac05b3dd7.jpeg" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="20251022.jpg" height="344" width="584" alt="20251022.jpg" class="image-inline"/></strong></p>
<p><strong/></p>
<p><strong>(ポイント)</strong></p>
<ul>
<li>日本沿岸の深海から採集されたヤドカリの「宿」を作るイソギンチャクが、<em>Paracalliactis</em>属の新種であることを突き止めました。本種の特徴を、万葉集の詩歌で使われた言葉にちなんで、ツキソメイソギンチャクと命名しました。</li>
<li>イソギンチャクの「巻貝のような構造物」を作り出すという能力が「ヤドカリとの共進化<strong>(</strong><strong>注</strong><strong>1</strong><strong>)</strong>」により生み出された可能性があることを、博物館に保管された標本などの調査により突き止めました。</li>
<li>前後左右の区別がはっきりしないイソギンチャクが、非対称な構造を作るのはとても興味深い現象です。単純な体構造や神経をもつ動物が、どのようにして自己の体勢や空間を認識しているのかを理解する上で、本種は良い研究材料になると期待できます。</li>
</ul>
<p><strong><img src="/whatsnew/sizen/sizeninfo_file/20251022-2.png/@@images/d69c1e57-bea9-4633-acbe-94f747c6b161.png" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="20251022-2.png" height="410" width="584" alt="20251022-2.png" class="image-inline"/></strong></p>
<p><strong>(概要説明)</strong></p>
<p>????? 熊本大学くまもと水循環?減災研究教育センター沿岸環境部門(合津マリンステーション)の吉川准教授(理学部併任)(研究当時の所属:国立科学博物館, 鹿児島大学, 東京大学)、福山大学の泉講師、千葉県立中央博物館の柳主任上席研究員らを中心とする研究チームは、日本沿岸の太平洋側(三重県の熊野灘沖および静岡県の駿河湾沖)の深海からヤドカリが使う貝殻の上で暮らし、自身の分泌物で<strong>ヤドカリの「宿」</strong><strong>(</strong><strong>注</strong><strong>2</strong><strong>)</strong><strong>を作るイソギンチャクを採集しました</strong>。</p>
<p>????? 同研究チームにより行われたイソギンチャクの形態の分析や、DNA塩基配列を使った分子系統解析により、得られたイソギンチャクが<em>Paracalliactis</em>属の未記載種(<strong>注</strong><strong>3</strong>)であることが明らかになりました。そこで私たちは、<strong>本種をツキソメイソギンチャク</strong><strong>(学名:</strong><strong><em>Paracalliactis tsukisom</em></strong><strong>e</strong><strong>)</strong><strong>と命名し、鮮明な動画記録とともに新種として発表しました</strong>。</p>
<p>????? 国内外の博物館や、水族館の協力のもとで行った生態的な研究では、① ツキソメイソギンチャクが宿主であるヤドカリの糞などを食べている可能性、および②イソギンチャクが一方向に動くことで「巻貝の形」を作り出す可能性、<strong>③</strong><strong>本種との共生により宿主のヤドカリは、他の種よりも大きな体を獲得できていることが示唆されました</strong>。</p>
<p>????? イソギンチャクのような単純な体の構造を持つ動物が、「巻貝の形」を作り出すというのは、生物の進化学的にも非常に珍しい事例です。<strong>このような能力が、ヤドカリとの共生に伴い、共進化的に生み出されてきた可能性を提唱する</strong>点で、本研究成果は生物の進化学的に大きな価値があります。</p>
<p>????? 本研究の一部は、JSPS 科研費(課題番号:JP 20J00120、JP21K20591、JP 23K14002、JP 24KJ2210)、および公益財団法人無脊椎動物研究所?個別研究助成 (課題番号:KO2020-04)、公益財団法人日本科学協会?笹川科学研究助成 (課題番号:2020-4012、2023-5020)の助成を受けて実施しました。</p>
<p/>
<p><strong>(説明)</strong></p>
<p><strong>[背景]</strong></p>
<p>????? イソギンチャクは、サンゴと同じ刺胞動物門の花虫綱に属している動物です。イソギンチャクはサンゴとは異なり、基本的には硬い骨格のようなものを作り出すことはありません。しかしながら、<strong>ごく一部のイソギンチャクでは、自身の分泌物で深海に暮らすヤドカリの「宿</strong><strong>(巻貝のような形の構造物)</strong><strong>」を作り出す</strong>ことが知られています。</p>
<p>????? イソギンチャクは、基本的に「放射相称(<strong>注</strong><strong>4</strong>)」という前後左右を区別することができない体の構造を持っています。一方で、巻貝のような非対称な形を作るためには、その入り口を前方に向けて伸ばしていくという、特定の方向への新たな構造物の創出が必要になります。しかし、<strong>イソギンチャクが、特定の方向を認識することができるかはわかっていません</strong>。</p>
<p>では、一体どのようにしてヤドカリの「宿」を作るのでしょうか?また、その特殊な能力はどのように進化してきたのでしょうか?これについては、たくさんの生物学者から注目を集めていたものの、深海で生物を直接観察することや、対象の生物の採集や飼育することが難しいため、未だ明らかにされていませんでした。</p>
<p>????? そこで本研究では、日本沿岸の深海から新たに見つかった<strong>ヤドカリの「宿」を作るイソギンチャクとヤドカリの共生生態を解き明かす</strong>ことで、 <strong>イソギンチャクの「巻貝のような形を作る能力」の進化の原動力を議論</strong><strong>しました</strong>。</p>
<p><strong>?</strong></p>
<p><strong>[研究の内容?成果]</strong></p>
<p>????? 熊本大学くまもと水循環?減災研究教育センター沿岸環境部門(合津マリンステーション)の吉川晟弘准教授(理学部併任)(研究当時の所属:国立科学博物館, 鹿児島大学, 東京大学)が率いる研究チームが、日本沿岸の水深200~500mの深海(三重県熊野灘および静岡県駿河湾)から、<strong>ヤドカリの「宿」を作るイソギンチャクを発見しました</strong>。本種の外部形態の観察や、組織学的な手法を用いた内部形態の観察、刺胞のタイプについての分析、複数DNA塩基配列を使用した分子系統解析により、これが<em>Paracalliactis</em>属であることが判明しました。しかし、これまで知られていた本属の種の特徴とはどれとも一致しなかったため、この度、新種として発表することとなりました。<em>Paracalliactis</em>属は今まで日本からの記録がなかったため、本研究にて初めて発見されたこととなります。</p>
<p>????? <em>Paracalliactis</em>属の種は、深海から採集された後はすぐに弱ってしまい、触手や口が広がった状態で観察されることは非常に稀です。また、この特徴が本グループの分類研究を遅らせる要因の一つでもありました。そこで<strong>本研究では、臨海実験施設の飼育設備を活用することにより、本種の生きた状態を動画記録として収めることに成功しました</strong>。今後、今回と同じ条件で飼育することで、本グループの特徴を詳細な形態観察が可能になり、本属の種多様性や、行動や生態までもが今後明らかにされていくと期待されます。</p>
<p>????? また、共生関係にあるイソギンチャクとヤドカリが何を食べているのかを、炭素窒素同位体分析(<strong>注</strong><strong>5</strong>)を用いて分析したところ、<strong>イソギンチャクが宿主のヤドカリの糞などを食べている可能性が見出されました</strong>。さらには国立科学博物館が所有しているマイクロCTスキャナを用いたイソギンチャクの付着位置に対する3次元的な分析では、イソギンチャクが、<strong>ヤドカリの貝殻の入り口に一定の体の向きで付着するという「特定の方向を認識しているかのような行動」を行う</strong><strong>ことが明らかになりました</strong>。</p>
<p>????? そして、博物館に所蔵されている宿主ヤドカリの標本の形態計測と、各同属種の記載論文などにある文献データを活用した生態学的な調査により、<strong>宿主となるヤドカリは、同属の他の種よりも、深海で大きな体を獲得していることが明らかになりました</strong>。</p>
<p>????? これらのことから、この両者の関係はお互いにメリットがある相利共生関係であると考えられます。さらに、自然下では、<strong>本種がアカモントゲオキヤドカリ以外のヤドカリと共生する事例が見つかっていない</strong>ことから、両者は強い共生関係にあると予想できました。</p>
<p>????? 以上のことから私たちは、広大な深海において特定のヤドカリとのみ共生するという本種の「強い共生関係」を、日本の古典である<strong>万葉集</strong><strong>(</strong><strong>注</strong><strong>6</strong><strong>)</strong><strong>の</strong><strong>12</strong><strong>巻に収録されている愛の</strong><strong>歌</strong><strong>で「相手への強い</strong><strong>気持ち」を強調するために使われた「桃花褐</strong><strong>(つきそめ<span> = </span>淡い桃色)(</strong><strong>注<span>7</span></strong><strong>)</strong><strong>」という色</strong>になぞらえて、ツキソメイソギンチャク<em>Paracalliactis tsukisome</em>と命名しました。<strong>新種の桃色の“薄さ“に反して、とても強い共生関係をヤドカリと結んでいる可能性がある</strong>ことが、本種の名前の由来になっています。</p>
<p><img src="/whatsnew/sizen/sizeninfo_file/20251022-3.jpg/@@images/b1695e86-d51b-4dd3-8f3e-b05b25ed0579.jpeg" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="20251022-3.jpg" height="410" width="584" alt="20251022-3.jpg" class="image-inline"/></p>
<p><strong>[展開]</strong></p>
<p>????? 基本的に放射相称的な体の構造を持つイソギンチャクは、一目見るだけでは前後左右の方向を特定することができません。そのような生物が、一方向に延長させないと作ることができない構造物(巻貝のような形)を作り出す能力を持つことは、生物の進化学的にも非常に珍しい事例です。<strong>このような現象が、ヤドカリとの共生に伴い、共進化により生み出された可能性を提唱する点で、本研究成果には大きな学術的価値がある</strong>といえます。</p>
<p>????? ツキソメイソギンチャクは、深海の底引網漁で頻繁に混獲されています。深海に暮らす生物のなかでは、比較的簡単に採集することができる種といえます。そのため今後本種は、<strong>単純な体構造や神経をもつ動物がどのようにして自己の体勢や空間を認識しているのかを理解する上で良い研究材料</strong>に<strong>なるかもしれません</strong>。</p>
<p>????? これまで深海に暮らす動物の生態に関しては、現地での生物の観察や、頻繁なサンプリング調査の難しさから、あまり研究が進んでいませんでした。そこで本研究では、新たに採集された個体だけでなく、過去に採集されて<strong>博物館に保管されていた標本を測定したり、各種の記載論文などの分類学的研究において記載されていた情報を活用</strong><strong>した</strong>りすることで、深海に暮らす底生動物の共生生態を明らかにしました。博物館に保管されていた標本のなかには、水族館で飼育されていた個体や、旧東京大学海洋研究所(現?東京大学大気海洋研究所)が所有していた白鳳丸や淡青丸の調査航海で採集された個体も含まれています(研究に用いた標本はすべて国立科学博物館もしくは千葉県立中央博物館に所蔵されました)。本研究は、<strong>博物館や水族館による継続的な生物の収集と保管や、生物の出現に関する分類学的知見が、深海生物の未知の生態を明らかにするために非常に有効</strong><strong>である</strong>ことを示しています。今後、さらに深海生物の未知なる生態を明らかにしていくためにも、各研究機関での生物資料の収集がより活性化されていくことが期待されます。</p>
<p>????? 今後、ツキソメイソギンチャクは、水族館や博物館で展示されることもあるかもしれません。イソギンチャクは英語で”Sea Anemone”と呼ばれ、アネモネの花にたとえられています。美しい花には花言葉があるように、美しい「ツキソメイソギンチャク」には「愛する気持ち」という言葉がふさわしいと思います。そんな”イソギンチャク言葉“が生まれるためにも、ぜひ大切な人と一緒にこの種の展示をご覧になり、ヤドカリとイソギンチャクのような固い絆になっていただければ幸いです。</p>
<p/>
<p><strong>[</strong><strong>発表者<span>]</span></strong></p>
<p>吉川 晟弘(熊本大学 くまもと水循環?減災研究教育センター 沿岸環境部門 (合津マリンステーション)/ 理学部(生物学コース) / 自然科学教育部 理学専攻(生物科学コース)准教授)</p>
<p>泉 貴人(福山大学 生命工学部 海洋生物科学科 講師)</p>
<p>神吉 隆行(九州大学 大学院工学研究院 学術研究員)</p>
<p>森滝 丈也(鳥羽水族館 飼育研究部 学芸員)</p>
<p>北嶋 円(新江ノ島水族館)</p>
<p>大土 直哉 (東京大学 大気海洋研究所 附属国際?地域連携研究センター 助教)</p>
<p>木村 妙子(三重大学 大学院生物資源学研究科 教授)</p>
<p>勾 玉暁(東京大学 大気海洋研究所 博士課程大学院生)</p>
<p>服部 竜士(東京大学 大気海洋研究所 博士課程大学院生)</p>
<p>弓場 茉裕(東京大学 大気海洋研究所 博士課程大学院生)</p>
<p>白井 厚太朗(東京大学 大気海洋研究所 海洋地球システム研究系海洋化学部門 准教授)</p>
<p>Michela L. Mitchell(Women’s and Children’s Health Network, North Adelaide Senior Medical Scientist / The University of Adelaide Adjunct Senior Lecturer)</p>
<p>藤田 敏彦(国立科学博物館 動物研究部 部長 / 東京大学 大学院理学系研究科 ?教授)</p>
<p>柳 研介(千葉県立中央博物館 分館海の博物館 主任上席研究員)</p>
<p><strong/></p>
<p><strong>[</strong><strong>用語解説<span>]</span></strong></p>
<p><strong>注</strong><strong>1</strong>:共進化</p>
<p>2種以上の生物が相互に影響を与え合いながら進化していく現象。花と送粉者(昆虫など)が互いのメリットが最大になる方向に進化していく場合や、捕食者と被食者、寄生者と宿主のように拮抗関係にある生物同士が、相手の変化に応じて自らも変化する場合などが例として挙げられる。</p>
<p><strong>注</strong><strong>2</strong>:ヤドカリの「宿」</p>
<p>ほぼすべてのヤドカリは巻貝の貝殻を住み場所にする。貝殻はすでに死んでいて成長しないので、ヤドカリは自身が成長するとより大きな貝殻に引っ越しする必要がある。そのため、貝殻は「宿」とよばれる。</p>
<p><strong>注</strong><strong>3</strong>:未記載種</p>
<p>学名の付いていない生物の種を「未記載種」と呼ぶ。そして本研究のように、論文にて名前を付けると初めて「新種」と呼ばれる。</p>
<p><strong>注</strong><strong>4</strong>:放射相称</p>
<p>体の構造が左右で等しくなる切断面を、放射状に引くことができる構造を持つ動物(クラゲなど)を「放射相称動物」という。</p>
<p><strong>注</strong><strong>5</strong>:炭素窒素同位体分析</p>
<p>炭素窒素安定同位分析とは、炭素と窒素のそれぞれの同位体比を(炭素<sup>13</sup>C/<sup>12</sup>C、窒素 <sup><span>15</span></sup><span>N/<sup>14</sup>N</span>)を測定することで、その生物が生態系のどの栄養段階の生物を栄養源にしているのか、および生態系における捕食―被食関係を調べることができる分析手法。</p>
<p><strong>注</strong><strong>6</strong>:万葉集</p>
<p>西暦約700~800年にかけて編纂された日本最古の歌集。全20巻からなり、約4500首の歌が収められている。「令和」の元号の出典にもなった歌集。</p>
<p><strong>注</strong><strong>7</strong>:桃花褐(つきそめ = 淡い桃色)</p>
<p>万葉集 第12巻に収録された歌「桃花褐の浅らの衣浅らかに思ひて妹に逢はむものかも」で使われた淡い桃色を表現している言葉。歌の意味は「桃花褐に浅く染めた衣のように、心を浅く思って妻に逢うことが、どうしてあろう」(出典:中西進 1981. 万葉集 全訳注原文付(三) 講談社文庫)。</p>
<p>桃花褐の訓読には諸説あり、近年は「ももきぬ」と読むべきとする論考も出版されている(村田 右富実 2025.『万葉集』巻十二?二九七〇番歌の「桃花褐」について : 付「往褐」: 関西大学東西学術研究所, 3–17 p.)。本研究では、名前の発音のしやすさも考慮した上で、中西進(1981)に書かれた訓読に従い「つきそめ」とした。</p>
<p><strong/></p>
<p><strong>(論文情報)</strong></p>
<p>論文名:Mutualism on the deep-sea floor: a novel shell-forming sea anemone in symbiosis with a hermit crab</p>
<p>著者:Akihiro Yoshikawa, Takato Izumi, Takayuki Kanki, Takeya Moritaki, Madoka Kitajima, Naoya Ohtsuchi, Taeko Kimura, Yuxiao Gou, Ryuji Hattori, Mahiro Yumiba, Kotaro Shirai, Michela L. Mitchell, Toshihiko Fujita, and Kensuke Yanagi</p>
<p>掲載誌:Royal Society Open Science</p>
<p>doi:10.1098/rsos.250789</p>
<p>URL:<a href="https://doi.org/10.1098/rsos.250789">https://doi.org/10.1098/rsos.250789</a></p>
<p/>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20251021-3-ver-2.pdf">プレスリリース</a>(PDF14,870KB)</p>
<p>【研究に関する動画(YouTube)】<a href="https://youtu.be/HScwCJUDZPA">https://youtu.be/HScwCJUDZPA</a></p>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_14_ja_2.png/@@images/bb2fa93c-062e-461e-a4ff-5c3084de1f5e.png" title="sdg_icon_14_ja_2.png" alt="sdg_icon_14_ja_2.png" class="image-inline"/>????</p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>
<p>熊本大学 くまもと水循環?減災研究教育センター 沿岸環境部門 (合津マリンステーション)/ 理学部(生物学コース)/ 自然科学教育部 理学専攻(生物科学コース)</p>
<p>担当:吉川晟弘(よしかわ あきひろ)准教授電話:080-1490-7099</p>
<p>E-mail:akiyoshikawa※kumamoto-u.ac.jp</p>
<p>(※を@に置き換えてください)</p>
</address>]]>
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研究
2025/10/22 08:56:00 GMT+9
ページ
-
マルチレートセンサ環境下での高精度な数理モデル化に関する基礎理論の構築_澳门赌场
/whatsnew/sizen/20251020-2
<![CDATA[<p style="text-align: justify;"><span color="#000000" style="color: #000000;"><b>【ポイント】</b></span></p>
<p style="text-align: justify;">?マルチレートセンサ環境下でのシステム同定技術の基礎理論を構築</p>
<p style="text-align: justify;">?サイクリック再定式化手法を用いた高精度なモデル化を実現</p>
<p>?自動運転システムや移動ロボットなどの複合センサシステムへの応用に期待</p>
<p/>
<p><strong>【概要説明】</strong></p>
<p>熊本大学大学院先端科学研究部岡島寛准教授らは、異なるサンプリング周期を持つ複数のセンサを用いるマルチレートセンサ環境下でのシステム同定に関する研究成果を発表しました。</p>
<p/>
<p>[取り組みの内容<span>]</span></p>
<p>本研究では、サンプリング周期が異なる複数のセンサから得られる信号を用いて、制御対象の数理モデルを高精度に構築するシステム同定アルゴリズムを提案しています。マルチレートシステムを周期時変システムとして扱い、サイクリック再定式化手法により線形時不変系に変換することで、既存のシステム同定手法を適用可能にします。さらに、サイクリック構造の特性を利用した座標変換により、元のマルチレートシステムのモデルパラメータを導出します。</p>
<p>本研究成果は、「<span>Journal of Robotics and Mechatronics</span>」に<span>2025</span>年<span>10</span>月<span>20</span>日に掲載されました。</p>
<p/>
<p>[背景<span>]</span></p>
<p>近年の制御システムでは、多様な機能を持つ複数のセンサが組み込まれることが一般的です。これらのセンサは種類によってサンプリング周期が異なるため、入力と出力のデータに欠損値が生じる状況でのシステム同定が必要となります。従来のシステム同定理論は、線形時不変系を対象とした完全なデータセットを前提としており、マルチレートセンサ環境への対応は困難でした。特に移動ロボット制御においては、<span>LiDAR</span>、カメラ、<span>IMU</span>など異なるサンプリング能力を持つセンサを統合したモデルベース制御の実現が重要課題となっています。</p>
<p>このような背景から、マルチレートセンサ環境下での数理モデル化技術の確立は、高度な制御システムの実現に不可欠です。</p>
<p>?</p>
<p>[成果<span>]</span></p>
<p>本研究では、マルチレートシステムを周期時変システムとして表現し、サイクリック再定式化により時不変システムに変換する手法を開発しました。この変換により既存の部分空間同定法を適用し、得られたモデルパラメータに対して特別な座標変換を施すことで、元のマルチレートシステムの構造を復元します。数値シミュレーションにより、提案手法が高精度な同定を実現することを確認しています。従来手法と異なり、特定の周期入力信号を必要とせず、実用的なシステム同定が可能となります。</p>
<p>?</p>
<p>[展開<span>]</span></p>
<p>自動運転システムや移動ロボットでは、複数の異なるサンプリング周期を持つセンサが使用されるため、本研究の手法をそのようなシステムのモデル化に直接応用することが可能です。数理モデルの存在を前提とした制御設計理論は数多く存在するため、本研究により高精度な数理モデルを構築できることで、工業分野や科学技術分野における制御技術の向上に寄与することが期待されます。また、<span>IoT</span>システムやセンサネットワークなど、様々なサンプリング周期を持つセンサが統合されるシステムへの応用も期待されます。</p>
<p/>
<p><span color="#000000" style="color: #000000;"><b>【論文情報】</b></span></p>
<p>論文タイトル:System Identification Under Mult-irate Sensing Environments</p>
<p>論文著者:岡島寛,古川莉早,松永信智</p>
<p>掲載雑誌:Journal of Robotics and Mechatronics 2025年<span>10</span>月掲載(オープンアクセス誌)</p>
<p>?URL:<a href="https://www.fujipress.jp/jrm/rb/robot003700051102/">https://www.fujipress.jp/jrm/rb/robot003700051102/</a></p>
<p><span>JRM Vol.37 p.1102 (2025) | Fuji Technology Press: academic journal publisher</span></p>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20251020-2.pdf">プレスリリース</a>(PDF450KB)</p>
<p><img src="/whatsnew/sizen/sizeninfo_file/release20251020-2.jpg/@@images/53c8cbad-caa5-46e0-9f57-ccafc25137e1.jpeg" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="release20251020-2.jpg" height="342" width="610" alt="release20251020-2.jpg" class="image-inline"/></p>
<p style="text-align: center;"/>
<p style="text-align: center;">図 <span>1</span> 提案したマルチレートシステムの数理モデリング手法(モデル化手順)</p>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>???? <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_09_ja_2.png/@@images/18ac5cdf-a729-4a68-b05f-2defc6e8fbe3.png" title="sdg_icon_09_ja_2.png" height="143" width="152" alt="sdg_icon_09_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp
<p>(※を@に置き換えてください)</p>
</address>]]>
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研究
2025/10/20 13:00:00 GMT+9
ページ
-
「悪者」と思われていた鉄が守りの役割を発揮し、 肝線維化を抑える新たな仕組みを解明 ―鉄がCXCL5を介して好中球を呼び込み、 線維分解を促進することで胆汁うっ滞性肝疾患の進行を抑制―_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20251016
<![CDATA[<p>【本研究成果のポイント】</p>
<p>?肝細胞内の鉄が、胆汁うっ滞性肝疾患において線維化を抑制する役割を持つことを発見した。</p>
<p>?鉄が<span>CXCL5</span>の発現を増加させ、それにより線維溶解酵素<span>MMP9</span>を産生する好中球の肝臓への集積が促され、線維分解が進む仕組みを解明した。</p>
<p>?鉄は従来「有害因子」と考えられてきたが、条件によっては線維化を抑制する「保護的作用」を示す可能性があり、新しい治療戦略につながることを示した。</p>
<p>【概要説明】</p>
<p>東京科学大学(<span>Science Tokyo</span>)総合研究院 難治疾患研究所 細胞動態学分野の諸石寿朗教授、熊本大学大学院生命科学研究部 分子薬理学講座の金森耀平助教、金沢大学 医薬保健研究域医学系 人体病理学の原田憲一教授らの研究チームは、マウスモデルを用いた解析により、肝細胞内の鉄が胆汁うっ滞性肝疾患における線維化病態を改善することを明らかにしました。これまで肝臓における鉄は、酸化ストレスを介して細胞死を促進し、慢性肝疾患を悪化させる因子と考えられてきました。しかし今回の研究で、<strong>肝細胞</strong>(用語<span>1</span>)に鉄が蓄積すると、<strong>胆汁うっ滞性肝疾患</strong>(用語<span>2</span>)における<strong>肝線維化</strong>(用語<span>3</span>)が抑制される一面があることが示されました。</p>
<p>具体的には、鉄が肝細胞でケモカイン<strong>CXCL5</strong>(用語<span>4</span>)の発現を高め、それによって線維溶解作用を持つ<strong>MMP9</strong>(用語<span>5</span>)陽性の<strong>好中球</strong>(用語<span>6</span>)の集積が促されました。さらに、患者検体においても、<span>MMP9</span>の発現が高い群では線維化が軽度であることが確認されました。</p>
<p>肝線維化は慢性肝疾患の最終段階として肝硬変や肝不全を引き起こし、生命予後を大きく左右します。これまでの研究では鉄を「有害因子」として捉えることが多かったのですが、本研究はその逆に「保護的作用」を明らかにしました。本成果は、鉄代謝や免疫細胞との相互作用を利用した新しい治療法の開発につながる可能性を示唆しています。今後は、鉄代謝や<span>CXCL5-MMP9</span>経路を標的とした治療法の開発や、患者層別化に基づく個別化医療への応用が期待されます。</p>
<p>本研究成果は、熊本大学 免疫ゲノム構造学講座および東京科学大学 制がんストラテジー研究室との共同研究によって得られ、<span>9</span>月<span>11</span>日(現地時間)付で「<em><span>JHEP Reports</span></em>」誌に掲載されました。</p>
<p/>
<p><strong>【用語説明】</strong></p>
<ol>
<li><strong>肝細胞</strong>:肝臓の主要な細胞で、代謝や解毒を担う</li>
<li><strong>胆汁うっ滞性肝疾患</strong>:胆汁の流れが障害され、肝臓に炎症や線維化を引き起こす疾患の総称</li>
<li><strong>肝線維化</strong>:肝臓にコラーゲンなどの線維成分が過剰に蓄積し、硬くなる病態</li>
<li><strong>CXCL5</strong>:好中球を呼び寄せるケモカイン</li>
<li><strong>MMP9</strong>:コラーゲンなどの細胞外マトリックスを分解する酵素</li>
<li><strong>好中球</strong>:白血球の一種で、感染防御だけでなく組織修復にも関与する</li>
<li><strong>FBXL5</strong>:細胞内鉄を制御する分子。欠損すると鉄が過剰に蓄積する</li>
<li><strong>エピジェネティック活性化</strong>:<span>DNA</span>配列そのものを変えずに、遺伝子の発現を調節する仕組み</li>
</ol>
<p><strong>【論文情報】</strong></p>
<p>掲載誌:<em><span>JHEP Reports</span></em></p>
<p>論文タイトル:<span>Hepatocyte iron suppresses liver fibrosis via fibrolytic neutrophil recruitment in cholestasis</span></p>
<p>著者:<span>Yohei Kanamori, Akihiro Nita, Keiichi I. Nakayama, Daisuke Kurotaki, Kenichi Harada, Toshiro Moroishi</span></p>
<p>DOI:<span><a href="http://10.1016/j.jhepr.2025.101590">10.1016/j.jhepr.2025.101590</a></span></p>
<p>【詳細】 <a style="background-color: #fafafa;" href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20251016.pdf">プレスリリース</a>(PDF570KB)</p>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学 大学院生命科学研究部 分子薬理学講座 </p>
<p>担当:(助教) 金森 耀平</p>
<p>Email: kanamori@kumamoto-u.ac.jp</p>
<p>TEL: 096-373-5173 <span>FAX: 096-373-5313</span></p>
<p/>
</address>]]>
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研究
2025/10/16 14:00:00 GMT+9
ページ
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女王を中心とした真社会性哺乳類ハダカデバネズミ社会の全貌――全個体自動追跡システムによる大規模社会行動解析――_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20251009
<![CDATA[<p>【本研究成果のポイント】</p>
<p>?真社会性哺乳類であるハダカデバネズミにおいて、個体タグ技術を用いて群れ内全個体を30日間追跡し、群れ全体の行動型と社会関係を網羅的に明らかにしました。</p>
<p>?繁殖個体(女王?繁殖オス)が特異な行動型を持ち社会の中心を担う一方、非繁殖個体(ワーカー)が多様な行動型に分かれ安定的に役割分担していることを示しました。</p>
<p>?本成果はハダカデバネズミにとどまらず、多様な動物種の社会構造研究に広く応用可能であり、社会性研究の基盤を築くものです。</p>
<p>【概要説明】</p>
<p>熊本大学大学院生命科学研究部の山川真徳博士研究員、東京大学定量生命科学研究所の奥山輝大教授、九州大学大学院医学研究院の三浦恭子教授(兼:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授)、総合研究大学院大学の沓掛展之教授らによる研究グループは、哺乳類では極めて珍しい真社会性(注1)を持つハダカデバネズミにおいて、大規模社会行動解析によって社会全体の構造と個体間の社会的関係性を明らかにしました。<br/>本研究では、個体タグであるRFID(注2)技術を用いた群れ全体の自動追跡システムを独自開発し、5群102匹を対象に30日間の動きを網羅的に記録しました。その結果、繁殖個体(女王と繁殖オス)は特有の行動を示し、社会の中心的存在であることが判明しました(図1)。一方、非繁殖個体(ワーカー)は「働き者」など6種類の行動型に分かれ、安定した役割分担をしていることがわかりました。さらに行動型ごとに他個体との関係性も異なり、群れの中で多様な戦略が共存していることが示されました。<br/>この成果は、他の動物種での社会性研究にも応用可能であり、協力社会の仕組みやその維持メカニズムを解明するための重要な基盤となります。本研究成果は、日本時間2025年10月9日付で、Science Advances誌に掲載されます。</p>
<p/>
<p>【論文情報】</p>
<p>雑誌名:Science Advances<br/>題 名:Quantitative and systematic behavioral profiling reveals social complexity in eusocial naked mole-rats<br/>著者名:Masanori Yamakawa*, Takahiro Ezaki, Akiyuki Watarai, Nobuyuki Kutsukake, Kyoko Miura*, Teruhiro Okuyama*<br/>*:責任著者<br/>DOI:10.1126/sciadv.ady0481</p>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20251007.pdf">プレスリリース</a>(PDF389KB)</p>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学 総務部総務課広報戦略室</p>
<p>電 話 : 096-342-3269</p>
<p>e-mail: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>
</address>]]>
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研究
2025/10/09 16:15:00 GMT+9
ページ
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鳥の胚性幹細胞を培養する鍵は卵黄成分であることを発見_澳门赌场
/whatsnew/sizen/20251007-2
<![CDATA[<p style="text-align: justify;"/>
<p><strong>(ポイント)</strong></p>
<ul>
<li>卵黄に含まれるオボトランスフェリンというタンパク質と低分子阻害剤などの成分を組み合わせることで、ニワトリを含む8種類の鳥類から胚性幹細胞<sup>※</sup>の樹立?維持を可能にする新しい培養条件を確立しました。</li>
<li>新しく樹立したニワトリ胚性幹細胞はFormative型多能性と生殖細胞への分化能を持ち合わせていることを明らかにしました。</li>
<li>本研究で確立した鳥類胚性幹細胞技術は、胚発生や家禽分野の研究だけでなく、絶滅危惧種や絶滅種の保全や復元研究など、幅広い分野への応用が期待されます。</li>
</ul>
<p style="text-align: justify;"/>
<p><strong>(概要説明)</strong></p>
<p> 熊本大学国際先端医学研究機構(<span>IRCMS</span>)の永井宏樹リサーチスペシャリストとGuojun Sheng 教授は、南カリフォルニア大学の<span>Xi Chen</span>研究員(現カリフォルニア工科大学)、<span>Qi-Long Ying</span>教授らと共同で、卵黄に含まれるオボトランスフェリンというタンパク質と低分子阻害剤などいくつかの成分を組み合わせることで、ニワトリを含む<span>8</span>種類の鳥類から胚性幹細胞を樹立するとともに長期間の維持培養に成功しました。実験実施にあたっては本学理学部の中窪まりん氏(現?本学大学院自然科学教育部)、松原凪咲氏、工学部の瀬戸ともか氏の<span>3</span>名の学部生が技術補佐員として貢献しました。本研究は、令和<span>7</span>年<span>9</span>月<span>30</span>日(米国東部時間<span>05:00</span>)に科学雑誌<span>Nature Biotechnology</span>に発表されました。</p>
<p>?本研究は、米国<span>Revive</span>&<span>Restore</span>、米国国立衛生研究所、<span>JST e-ASIA</span>共同研究プログラムの支援のもと行われました。</p>
<p style="text-align: justify;"> </p>
<p/>
<p><strong>(説明)</strong></p>
<p>[背景]</p>
<p> 胚性幹細胞は2つの主要な特徴、自己複製能と多能性、を保持しています。自己複製能があることで、胚性幹細胞は自らを幹細胞として増殖させ続けることができます。また、多能性を保持する細胞は三胚葉(内胚葉?中胚葉?外胚葉)へ分化することができ、最終的に私たちの体を構成するすべての組織や器官を形成することができます。これまでの胚性幹細胞の研究は、哺乳類モデルが主導して進められてきました。その一方で、鳥類モデルの胚性幹細胞に関する研究は最適な培養条件が明らかになっていなかったため大きく遅れをとっていました。</p>
<p>?</p>
<p>[研究の内容と成果]</p>
<p> 今回の研究では、鳥類の胚性幹細胞の培養条件を最適化するため、まず発生の理解が進んでいるニワトリに着目しました。産卵直後の有精卵から卵黄上にあるニワトリ胚(胚盤葉)を取り出し、幹細胞の分化を促すシグナルを阻害する<span>2</span>種類の低分子阻害剤(<span>IWR-1:Wnt</span>や<span>β-</span>カテニンに関連するシグナルを阻害<span>/</span><span>G?6983:</span>プロテインキナーゼ<span>C</span>ファミリー由来のシグナルを阻害)を加えた培地で培養を行いました。しかし、ニワトリ培養細胞は多能性遺伝子の発現を示すものの、長期間の維持培養には至りませんでした。ところが、興味深いことに胚と一緒にたくさんの卵黄が培養皿へ持ちこまれた場合、培養細胞がよりよく増殖する傾向がみられました。このことから研究チームは、維持培養には卵黄に含まれる天然成分が不可欠であると考え、卵黄成分を探索しました。その結果、オボトランスフェリンというタンパク質が細胞増殖をサポートしていることが明らかになり、2種類の阻害剤と合わせた3つの成分がニワトリ胚性幹細胞培養に必要であることがわかりました。</p>
<p> 一方、他の鳥類では3つの成分だけでは不十分であり、鳥類種ごとに培養条件の最適化が必要でした。例えば、キジ、アヒル、七面鳥の場合では、心筋細胞への分化を防ぐために第4の成分として<span>SB431542</span>という阻害剤が必要でした。また、ウズラ、ガチョウ、クジャクでは、4成分にニワトリ由来の<span>LIF</span>(白血病阻止因子)を加えた5成分が必要でしたが、ダチョウでは5成分での維持が難しく、<span>LIF</span>を取り除くことで培養を維持することができました。さらに、5成分条件で培養したニワトリ胚性幹細胞は、3成分条件で培養した場合に比べて、より高度な多能性を長期間維持できることがわかりました。この5成分条件で樹立維持したニワトリ胚性幹細胞は、分化誘導培養で三胚葉(内胚葉?中胚葉?外胚葉)へ分化する能力を示すとともに、生殖細胞へ分化する能力も併せ持つことがわかりました。また、産卵直後のニワトリ胚に胚性幹細胞を移植した場合では、体細胞キメラ胚(移植先のニワトリ胚と胚性幹細胞から分化した細胞が混ざり合ったモザイク胚)が形成されました。これら典型的な胚性幹細胞としての特徴と遺伝子発現解析から、5成分条件で培養したニワトリ胚性幹細胞の多能性は、哺乳類の胚性幹細胞で規定されるPrime型ではなく、高度な多能性であるNaive型により近いFormative型であると考えられました。</p>
<p/>
<p>[展開]</p>
<p> 本研究で確立した新しい鳥類胚性幹細胞は、ゲノム編集なども容易であることから、従来の胚発生や家禽分野における基礎?応用研究だけではなく、培養肉生産技術の開発、鳥類絶滅危惧腫?絶滅腫の保全?復元研究など、さまざまな分野への応用が期待されます。</p>
<p/>
<p>[用語解説<span>]</span></p>
<p>※胚性幹細胞:発生初期段階の胚から体外培養により作られる細胞。体を構成するすべての組織、器官および生殖細胞に分化する能力を持つ。</p>
<p/>
<p><strong>(論文情報)</strong></p>
<p>論文名:<span>Derivation of embryonic stem cells across avian species</span></p>
<p>著者:<span>Xi Chen<sup>*</sup>,Zheng Guo,Xinyi</span> Tong,Xizi Wang,Xugeng Liu,Hiroki Nagai,Ping Wu,Jiayi Lu,David Huss,Martin Tran,Carol Readhead, <span>Christina Wu,Lin Cao,Yixin Huang,Zhaohan Zeng,Fan Feng,Nima Adhami,Sirjan Mor,Rusty Lansford,Cheng-Ming Chuong,Guojun Sheng, Carlos Lois,Qi-Long Ying<sup>* </sup>. (* co-corresponding author</span>)</p>
<p>掲載誌:<span>Nature Biotechnology</span></p>
<p>doi:<span>10.1038/s41587-025-02833-3</span></p>
<p>URL:<a href="https://www.nature.com/articles/s41587-025-02833-3">https://www.nature.com/articles/s41587-025-02833-3</a></p>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20251007-2.pdf">プレスリリース</a>(PDF322KB)</p>
<p><br/><br/></p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>???? <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_11_ja_2.png/@@images/b2b78d2c-ee0b-4f6a-ab65-b6b78a87929e.png" title="sdg_icon_11_ja_2.png" height="125" width="133" alt="sdg_icon_11_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address><strong>お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学国際先端医学研究機構(IRCMS)<br/>担当:坂井?土井<br/>電話:096-373-6898<br/>e-mail:ircms<span>※</span>jimu.kumamoto-u.ac.jp<br/>
<p>(※を@に置き換えてください)</p>
</address>]]>
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研究
2025/10/07 09:00:00 GMT+9
ページ
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熊本大学教育学部、子どもが最も成長する学校づくりに向けた連携協定締結_澳门赌场
/whatsnew/kyouiku/1yxzzg
<![CDATA[<p> 熊本大学教育学部は9月22日、熊本大学教育学部、株式会社リンク?インタラック、株式会社リンクアンドモチベーション及び株式会社モチベーションアカデミアとの間において子どもが最も成長する学校づくりに向けた連携協定を締結した。</p>
<p>この協定は、4者が密接な連携のもと、相互の知的?人的資源を活用し、「主体的に考え、行動する生徒の育成」を中心とした附属中学校の教育プロジェクトの推進及びその基盤となる研究?実践の充実を目的としたもので、具体的には次のような事項について連携?協力を行う。</p>
<p> ?生徒?教職員?保護者に対する各種診断ツールの活用及び分析支援</p>
<p> ?教育実践の科学的分析及びフィードバック提供</p>
<p> ?学校エンゲージメント向上に向けた仕組みの開発?支援</p>
<p> ?プロジェクトの成果をもとにした地域?全国への展開モデルの構築</p>
<p> 熊本大学教育学部で行われた締結式には、熊本大学教育学部より藤田豊教育学部長が、株式会社リンク?インタラックより柿木秀雄社長が、株式会社リンクアンドモチベーションより齋藤拓郎グループマネジャー、株式会社モチベーションアカデミアより佐々木快社長が出席し、協定書を取り交わした。</p>
<p>今後、診断ツールやエンゲージメント分析の導入、探究型学習や英語?異文化理解研修といった施策を通じて、熊本大学教育学部附属中学校を起点に「子どもが最も成長する学校づくり」を科学的に追求し、そのうえで、生徒が自ら成長?学習できる状態を整え、それを支援できる環境づくりを推進する。</p>
<p>※詳細は<a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000542.000006682.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">こちら</a></p>
<p> </p>
<p> <img src="/whatsnew/kyouiku/702cf4/@@images/cf01ed84-a0d1-4baf-9ba2-f696396cb593.jpeg" title="リンクインタラック等と附中の連携協定写真" alt="リンクインタラック等と附中の連携協定写真" class="image-inline"/></p>
<p> 左から松島中学校長、藤田教育学部長、柿木社長、齋藤グループマネジャー、佐々木社長</p>
<p/>]]>
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学生
研究
その他
2025/09/29 13:07:25.311810 GMT+9
ページ
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タウオパチーモデルマウスではCD8陽性T細胞の脳内での増加を介して神経変性を増悪させる~脳―免疫連関による認知症病態制御の一端を明らかに~_澳门赌场
/whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250925
<![CDATA[<p/>
<p>【概要】</p>
<p>本研究は、名古屋市立大学大学院医学研究科 脳神経科学研究所 認知症科学分野 齊藤貴志 教授、上西涼平(同大学院生)、肱岡雅宣(同講師)、および熊本大学 生命資源研究?支援センター 動物資源開発研究施設(<span>CARD</span>)資源開発分野 竹尾透 教授らのグループによる共同研究の成果です。本共同研究グループは、多発性硬化症<sup><span>1)</span></sup>の治療薬として臨床応用されているフィンゴリモド<span> (FTY720)<sup> 2)</sup></span>を認知症タウオパチーモデルマウスに投与すると、脳内の<span>CD8</span>陽性<span>T</span>細胞<sup><span>3)</span></sup>を増加させ、タウのリン酸化や脳の萎縮を促進させることを見いだしました。<span>FTY720</span>は本来、末梢血中の<span>T</span>細胞数を減少させ、脳内への<span>T</span>細胞の侵入を抑制することで多発性硬化症の症状を抑制する効果が期待されます。しかし、タウオパチーモデルマウスでは、<span>FTY720</span>投与により末梢血中の<span>T</span>細胞数は減少するものの、脳内では<span>T</span>細胞が増加するという予想に反した結果が示されました。</p>
<p>これらの結果は、脳内の<span>CD8</span>陽性<span>T</span>細胞の増加がタウ病態の進行に寄与しており、タウオパチーの発症機構において脳―免疫の相互作用が重要な役割を果たしていることを示唆しています。また、タウオパチーに対する新たな介入標的として、<span>CD8</span>陽性<span>T</span>細胞を制御することの重要性が見いだされました。</p>
<p>(研究助成)</p>
<p>本研究は、<span>AMED (</span>脳神経科学統合プログラム<span>JP24wm0625303</span>「タウオパチーにおけるグリア-末梢免疫連関および脳プロテオスタシス変容の理解と制御」、革新的先端研究開発支援事業<span>JP20gm1210010</span>「脳卒中?認知症の完全回復に向けた持続可能な神経回路の再構築を実現する治療開発」<span>)</span>、文部科学省?日本学術振興会科学研究費補助金(<span>20H03564</span>、<span>JP24K02354</span>、<span>JP22K06865</span>、<span>JP24K18381</span>、<span>JP24KJ1888)</span>、<span>JST (</span>ムーンショット<span>JPMJMS2024</span> 、<span>SPRING Japan</span> JPMJSP2130)、名古屋市立大学特別研究奨励費(<span>2021101)</span>、名古屋市立大学卓越研究グループ支援事業(<span>2401101)</span>、東京科学大学難治疾患共同研究拠点活動(<span>Grant No. 2025-kokunai 29</span>)、堀科学芸術振興財団助成、豊秋奨学会助成等を受けて行われました。</p>
<p>【用語解説】</p>
<p>1) <strong>多発性硬化症</strong></p>
<p>脳や脊髄などの中枢神経系に障害が引き起こされる自己免疫疾患の一つ。症状としては運動機能障害や認知機能障害などが存在し、再発と寛解を繰り返すことが特徴として知られています。特に、免疫細胞である<span>T</span>細胞が脳内で神経細胞障害を起こし病態の進行に深く関与していることが知られています。</p>
<p>?</p>
<p>2) <strong>フィンゴリモド<span> (FTY720)</span></strong></p>
<p> ?多発性硬化症の再発予防や身体的障害の進行抑制に用いられる免疫抑制剤。<span>T</span>細胞や<span>B</span>細胞などの免疫細胞表面に発現しているスフィンゴシン<span>1-</span>リン酸 <span>(S1P) </span>受容体<span> (S1PR) </span>と結合することで、<span>S1PR</span>の発現を低下させます。その結果、<span>T</span>細胞や<span>B</span>細胞などの免疫細胞を二次リンパ節に留めることで、末梢血中に移行できないようにする薬剤です。これにより、脳内への<span>T</span>細胞の侵入を抑制することができます。</p>
<p>?</p>
<p>3) ?<strong>CD8</strong><strong>陽性<span>T</span>細胞</strong></p>
<p> ?<span>??</span>ウイルスやがん細胞などの異物に感染した細胞を排除する免疫細胞として知られており、細胞傷害性<span>T</span>細胞(キラー<span>T</span>細胞)とも呼ばれています。</p>
<p>?</p>
<p>4) ?<strong>P301S–Tau</strong><strong>トランスジェニックマウス(<span>Tau Tg </span>マウス)</strong></p>
<p>家族性タウオパチーの一つである<span>FTDP-17 (17</span>番染色体に連鎖する家族性前頭側頭型認知症パーキンソニズム<span>) </span>患者から見出された遺伝子変異である<span>P301S</span>変異を有するタウを過剰に発現させたタウオパチーモデルマウスです。これにより、リン酸化タウの蓄積、神経細胞の脱落などのタウ病理を呈するマウスです。</p>
<p>?</p>
<p>5) ?<strong>フローサイトメトリー</strong></p>
<p> <span>??</span>蛍光標識した細胞を流体中に分散させながら、様々なレーザー光を照射し、様々な検出器で蛍光を受け取り測定することで、特定の細胞がサンプル中にどのくらいの割合で存在するかを解析できる技術です。</p>
<p>?</p>
<p>【論文タイトル】</p>
<p>Fingolimod treatment exacerbates tau phosphorylation and neurodegeneration in a mouse model of tauopathy with accumulated brain CD8<sup>+</sup> T cells</p>
<p>?</p>
<p>?</p>
<p>【著者】</p>
<p>上西 涼平<sup><span>1</span></sup><span>*, </span>河田 琳菜<sup><span>1</span></sup><span>, </span>眞鍋 達也<sup><span>1</span></sup><span>, </span>竹尾 透<sup><span>2</span></sup><span>, </span>肱岡 雅宣<sup><span>1#</span></sup><span>, </span>齊藤 貴志<sup><span>1,3#</span></sup></p>
<p>【著者所属】</p>
<ol>
<li>名古屋市立大学大学院医学研究科 脳神経科学研究所 認知症科学分野</li>
<li>熊本大学 生命資源研究?支援センター 動物資源開発研究施設(<span>CARD</span>)資源開発分野 </li>
<li>名古屋大学 環境医学研究所 病態神経科学分野</li>
</ol>
<p>* 第一著者 <span># </span>共同責任著者</p>
<p>?</p>
<p>【掲載学術誌】</p>
<p>学術誌名 <span>Brain </span>Communications</p>
<p>DOI番号:<span><a href="https://academic.oup.com/braincomms/article-lookup/doi/10.1093/braincomms/fcaf330">https://academic.oup.com/braincomms/article-lookup/doi/10.1093/braincomms/fcaf330</a></span></p>
<p/>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250925.pdf">プレスリリース</a>(PDF1,999KB)</p>
<p/>
<p>?</p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" width="142" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" height="134" class="image-inline"/>??</p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p/>
<p>総務部総務課広報戦略室</p>
<p>電話:096-342-3269</p>
<p>e-mail:<a href="mailto:sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp">sos-koho<span>“AT”</span>jimu.kumamoto-u.ac.jp</a></p>
<p><span>※E-mail は上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。</span></p>
</address>]]>
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研究
2025/09/25 09:00:00 GMT+9
ページ
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体内で精子が卵と出会うための仕組みを解明-男性不妊症に対する分子診断法の開発や避妊薬開発に期待-_澳门赌场
/whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250916
<![CDATA[<p>【ポイント】</p>
<ul>
<li>精子が子宮と卵管の接合部(UTJ)に結合?通過し、卵を覆う糖タンパク質の層(卵透明帯)に結合する伝達経路において、精子タンパク質GALNTL5がその最終段階を担うことを発見した。</li>
<li>GALNTL5がUTJや卵透明帯に存在する糖鎖中のGalNAcと相互作用することで、精子はUTJに結合?通過および卵透明帯に結合することが示された。</li>
<li>男性不妊の原因遺伝子として検査?診断の対象となる可能性や、避妊薬開発への応用が期待できる。</li>
</ul>
<p>【概要】</p>
<p>精子が体内で卵と出会うためには、精子が子宮から卵管へと移行する必要があります。精子の卵管への移行には、精巣など雄生殖組織で発現する30ほどの遺伝子が関与するものの、その分子メカニズムはよく分かっていませんでした。また、子宮から卵管へと移行できない精子を体外で卵丘細胞(*1)を除去した卵と共培養すると、精子は卵透明帯(*2)にほとんど結合できません。この結果から、精子の卵管への移行と卵透明帯への結合には共通の分子メカニズムが存在する可能性が示唆されていました。</p>
<p>?熊本大学 生命資源研究?支援センターの野田大地 准教授、瓜生怜華 大学院生は、大阪大学微生物病研究所の伊川正人 教授およびベイラー医科大学のMartin M. Matzuk(マーティン M. マツック) 教授らとの国際共同研究により、マウス精子タンパク質GALNTL5が子宮と卵管の接合部(UTJ)や卵透明帯表面に存在する糖鎖中の<em>N</em>-アセチルガラクトサミン(GalNAc)と相互作用することで、精子は子宮から卵管へと移行し、その後卵透明帯に結合できることを見出しました。本研究成果は、男性不妊の原因遺伝子としてとして検査?診断の対象となる可能性や、避妊薬開発への応用が期待できます。</p>
<p><strong>?</strong>本研究成果は、英国科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)」に、9月17日(水)午後6時(日本時間)以降に公開されます。また、本研究成果について、9月18日(木)午前11時から記者発表を行います。</p>
<p>(研究助成)</p>
<p>本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ(JPMJPR2148)、同 戦略的創造研究推進事業 <span>CREST</span>(JPMJCR21N1)、日本医療研究開発機構(AMED)/ASPIRE医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業「次世代生殖補助医療に資する国際共同研究」、科学研究費補助金、武田科学振興財団研究助成、中島記念国際交流財団研究助成、千里ライフサイエンス振興財団研究助成、稲盛財団研究助成、持田記念医学薬学振興財団研究助成、OUマスタープラン実現加速事業、およびNational Institute of Health Grantの支援を受けて行いました。本研究は、熊本大学、大阪大学、Capital University of Physical Education and Sports、Beijing Normal University、およびBaylor College of Medicineとの共同で行いました。</p>
<p>【用語解説】</p>
<p>*1 卵丘細胞:卵子を覆う細胞層。卵子の発達や受精を制御する。</p>
<p>*2 卵透明帯:卵を覆っている糖タンパク質の層。受精するためには、精子は透明帯を通過する必要がある。</p>
<p>?</p>
<p><strong>【論文情報】</strong></p>
<p><strong>掲載誌:</strong>Nature Communications</p>
<p><strong>?</strong><strong>論文タイトル:</strong>GALNTL5 binds GalNAc and is required for migration through the uterotubal junction and sperm-zona pellucida binding</p>
<p><strong>著者:</strong>Taichi Noda*,**, Reika Uriu*, Daisuke Mashiko, Hina Shinohara, Yongcun Qu, Ayumu Taira, Ryan M. Matzuk, Duri Tahala, Motochika Nakano, Kimi Araki, Zhifeng Yu, Ying Zhang, Martin M. Matzuk**, and Masahito Ikawa**</p>
<p>?*共同筆頭著者</p>
<p>**:共同責任著者</p>
<p>DOI:10.1038/s41467-025-63805-4</p>
<p>URL:<a href="https://www.nature.com/articles/s41467-025-63805-4">https://www.nature.com/articles/s41467-025-63805-4</a></p>
<p>?</p>
<p/>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250916-2.pdf">プレスリリース</a>(PDF1,061KB)</p>
<p/>
<p>?</p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" width="142" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" height="134" class="image-inline"/>??</p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>生命資源研究?支援センター</p>
<p>生殖機能学分野</p>
<p>担当:准教授 野田 大地</p>
<p>電話:096-373-6576/6646</p>
<p>e-mail:<a href="mailto:noda-t@kumamoto-u.ac.jp">noda-t<span>“AT”</span>kumamoto-u.ac.jp</a></p>
<p><span>※E-mail は上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。</span></p>
</address>]]>
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研究
2025/09/17 18:00:00 GMT+9
ページ
-
藻類の太陽光エネルギーの高効率な伝達状態を解明 -巨大タンパク質複合体の単離と光エネルギー移動の詳細-_澳门赌场
/whatsnew/sizen/20250910
<![CDATA[<p style="text-align: justify;">【概要】</p>
<p> 理化学研究所(理研)放射光科学研究センター生体機構研究グループの川上恵典研究員、米倉功治グループディレクター(最先端研究プラットフォーム連携(TRIP)事業本部理研-JEOL連携プロジェクト副プロジェクトディレクター、東北大学多元物質科学研究所教授)、熊本大学産業ナノマテリアル研究所の小澄大輔准教授、同大学院自然科学教育部の板東(魚谷)未希博士後期課程学生、木田雅俊博士前期課程学生(研究当時)、廣田悠真博士前期課程学生(研究当時)、同大学理学部理学科物理学コースの加藤善大学士課程学生(研究当時)、豊橋技術科学大学応用化学?生命工学系の広瀬侑准教授の共同研究グループは、太陽光エネルギーを高効率で吸収する藻類の光捕集タンパク質複合体「フィコビリソーム(PBS)<sup>[1]</sup>」と水を分解して酸素を発生する膜タンパク質複合体「光化学系Ⅱ(PSⅡ)<sup>[2]</sup>」が相互作用したフィコビリソームー光化学系Ⅱ(PBS-PSⅡ)超複合体の調製法を確立し、その全体構造の評価と、フィコビリソームからPSⅡへの光エネルギー伝達の速度と経路を明らかにしました。</p>
<p> 本研究成果は、藻類が吸収した太陽光エネルギーがどのようにPBSからPSⅡへと効率よく伝達されるのかを解明したもので、この知見を人工光合成研究<sup>[3]</sup>に取り入れることで高効率光エネルギー伝達システムの構築に貢献すると期待されます。</p>
<p> 今回、共同研究グループは、温泉から採取された好熱性シアノバクテリア<em>Thermosynechococcus vulcanus</em>(<em>T. vulcanus</em>)<sup>[4]</sup>からPBS-PSⅡを単離する調製法を確立し、染色剤で試料を染めた後に電子顕微鏡を用いた単粒子構造解析を行うことでその全体構造を評価するとともに、光エネルギーがどのような経路を経てPBSからPSⅡへ伝達されるのかを明らかにしました。</p>
<p style="text-align: justify;"> 本研究は、科学雑誌『<em>Plant and Cell Physiology</em>』オンライン版(9月10日付:日本時間9月10日)に掲載されました。</p>
<p style="text-align: justify;"/>
<p>【<span color="#000000" style="color: #000000;">今後の期待</span>】</p>
<p> 本研究では、新たに構築した試料調製法によってシアノバクテリアのPBS-PSⅡ超複合体が得られることを、電子顕微鏡測定と2次元クラス分類による解析によって評価し、得られた試料の時間分解蛍光測定から、PBSからPSⅡへの超高速なエネルギー伝達の詳細を明らかにしました。</p>
<p> 光エネルギーを吸収するタンパク質複合体間の高効率なエネルギー伝達の仕組みを理解し、その知見を人工光合成研究に取り入れることで、高効率光エネルギー伝達を行うことができる人工デバイスの構築が行えると期待されます。</p>
<p/>
<p>【補足説明】</p>
<p/>
<p>[1] フィコビリソーム(PBS)</p>
<p>多くの藻類が持つ、太陽の光を捕集し伝達する機能を持つタンパク質複合体。PBSはphycobilisomeの略。</p>
<p>[2] 光化学系Ⅱ(PSⅡ)</p>
<p>植物や藻類の中に存在し、太陽光エネルギーを吸収して電子伝達を行うとともに、水を分解して酸素を発生させることができる膜タンパク質複合体。クロロフィルやカロテノイドといった多数の色素を持ち、フィコビリソームから光エネルギーを受け取ることができる。PSⅡはphotosystemⅡの略。</p>
<p>[3] 人工光合成研究</p>
<p>植物や藻類が行う天然光合成とは異なり、光合成を人工的に行う技術を開発する研究。化石燃料や原子力の代替エネルギーの開発として注目されている。</p>
<p>[4] 好熱性シアノバクテリア<em>Thermosynechococcus vulcanus</em>(<em>T. vulcanus</em>)</p>
<p>生育最適温度が50~60?C程度の中度好熱性のシアノバクテリアの一種であり、温泉源に多く生息している。得られるタンパク質は耐熱性であるため、植物や藻類が行う天然光合成を調べるための生化学?分光学?構造解析に適している。</p>
<p/>
<p/>
<p><span>【論文情報】</span></p>
<p/>
<p><タイトル></p>
<p>Preparation, structural characterization, and ultrafast energy transfer dynamics of the phycobilisome-photosystem II megacomplex in a thermophilic cyanobacterium</p>
<p><著者名></p>
<p>Keisuke Kawakami, Miki Bandou-Uotani, Masatoshi Kida, Yoshiharu Kato, Yuma Hirota, Yuu Hirose, Daisuke Kosumi, Koji Yonekura</p>
<p><雑誌></p>
<p><em>Plant and Cell Physiology</em></p>
<p><DOI></p>
<p>10.1093/pcp/pcaf076</p>
<p/>
<p>【<a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250910-2.pdf">プレスリリース</a>】(PDF1681KB)</p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>???? <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_07_ja_2.png/@@images/aaab6e72-31b0-4f6e-aeb0-281c879eca6e.png" title="sdg_icon_07_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_07_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp
<p>(※を@に置き換えてください)</p>
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2025/09/10 10:00:00 GMT+9
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骨の減少に喘息が関与することを明らかに ?アレルギー患者の骨の維持に新たな知見?_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20250909
<![CDATA[<p>【本研究成果のポイント】</p>
<p>?喘息モデルマウスは骨量が少ない。</p>
<p>?喘息マウスの骨減少には骨の力センサー<span>Piezo</span>チャネルが関与する。</p>
<p>?喘息モデルマウスの<span>Piezo1</span>チャネルを活性化させると骨量の減少が抑えられる。</p>
<p>?アレルギー炎症の適切な管理により骨の健康を守ることが期待される。</p>
<p>?本研究成果は、<span>2025</span>年<span>8</span>月<span>29</span>日付の「<span>Communications Bi</span>ology」誌に掲載されました。</p>
<p/>
<p>【概要説明】</p>
<p>喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患を持つ人は、骨折しやすいことが知られています。これは治療に用いるステロイド薬が骨を脆弱にするためと考えられてきました。今回、佐賀大学医学部の高玮琦研究員、城戸瑞穂教授らは、熊本大学福田孝一教授、長崎大学筑波隆幸教授、門脇知子教授らとの共同研究で、喘息モデルマウスは、健常マウスと比べて骨量が少ないことを発見しました。喘息マウスの骨は、力のセンサー分子である<span>Piezo</span>チャネルの発現が少ないこともわかりました。さらに、<span>Piezo</span>チャネルの活性化を行うと喘息マウスの骨量の減少を抑制できました。</p>
<p>骨が十分な質と量そして強さを保つことは、自立して健康に歳を重ねていく上でとても重要です。アレルギー疾患そのものが将来の骨折のリスクを高める可能性を理解した上で、アレルギー炎症を適切に管理することは、骨の健康を維持する上でも重要であると考えられます。<span>Piezo</span>チャネルはアレルギー炎症に伴う骨減少への治療の標的として期待されます。</p>
<p/>
<p>【今後の展開】</p>
<p>現在の骨粗鬆症の治療薬は、破骨細胞の抑制や骨芽細胞活性化の効果は高いものの、骨を十分に獲得するまでには至っていません。これは、骨量が減る仕組みに不明な点が多く残されているからだと考えられます。本研究の成果が、アレルギー疾患に伴う骨量減少への新たな予防戦略やメカノセンサーを標的とした治療薬の開発へと繋がることが期待されます</p>
<p/>
<p>【論文情報】</p>
<p>Weiqi Gao, Takeshi Sawada, Ailin Cao, Reiko U. Yoshimoto, Yu Yamaguchi, Yukie Takahashi, Takaichi Fukuda, Yasuyoshi Ohsaki, Reona Aijima, Tomoko Kadowaki, Takayuki Tsukuba, Mizuho A. Kido</p>
<p><span>Title:?</span>Ovalbumin-induced asthma leads to bone loss with Piezo channel suppression in mice.<span>?</span><em>Commun Biol</em><span>?</span><strong>8</strong>, 1309 (2025). https://doi.org/10.1038/s42003-025-08753-x</p>
<p/>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250909.pdf">プレスリリース</a>(PDF365KB)</p>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学 総務部総務課広報戦略室</p>
<p>電 話 : 096-342-3269</p>
<p>e-mail: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>
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2025/09/09 14:00:00 GMT+9
ページ
-
がん免疫療法の新戦略 ―抗原?免疫刺激分??糖鎖を?体化した 「統合型グリコ?ナノワクチン」を開発―_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20250905
<![CDATA[<p>【ポイント】<br/>○ 抗原?免疫刺激分??糖鎖を?体化させた新しい「統合型グリコ?ナノワクチン(iGN)」を開発。<br/>○ ?ナノ粒?上に複数の要素を配置することで、マウスモデルで効率的にがん免疫を活性化。<br/>○ T 細胞によるがん細胞攻撃を誘導し、免疫チェックポイント阻害薬との併?でさらなる効果が期待される。</p>
<p/>
<p>【概要説明】</p>
<p>東京科学?学(Science Tokyo)総合研究院 難治疾患研究所 細胞動態学分野の諸?寿朗教授、?児島?学 ?学院理?学研究科の新地浩之研究准教授、熊本?学 ?学院?命科学研究部 分?薬理学講座の新村?由美研究員(研究当時、現?株式会社ワールドインテックR&D 事業部)らの研究チームは、抗原(?語1)?免疫刺激分?(アジュバント)(?語2)?糖鎖(?語3)を統合的に配置した新しい「統合型グリコ?ナノワクチン(iGN; integrated glyco-nanovaccine)」を開発しました。従来のがんワクチンは効果が限定的でしたが、iGN は抗原提?細胞(?語4)を強?に活性化し、T 細胞(?語5)によるがん細胞への攻撃を促進することで、マウスモデルにおいて腫瘍を破壊できることを確認しました。さらに、免疫チェックポイント阻害薬(?語6)との併?によって治療効果が増強されることも明らかになりました。本成果は、がん免疫療法(?語7)をより幅広い患者に適?できる可能性を拓く重要な?歩です。<br/>近年、免疫チェックポイント阻害薬を中?としたがん免疫療法は注?を集めていますが、依然として効果が得られない患者も多数存在することが課題となっています。がんの種類によっては「免疫が効きにくい状態(冷たい腫瘍)」が存在するため、免疫を呼び覚ます新たな治療戦略の開発が求められてきました。本研究で開発されたiGN は、こうした免疫不応答の壁を突破する可能性を秘めています。今後は、より多様ながん種を対象とした効果検証や臨床応?を進め、患者??ひとりに適した免疫治療の実現につなげていくことが期待されます。<br/>本成果は、カリフォルニア?学サンディエゴ校 医学部、?児島?学 ?学院理?学研究科、熊本?学 免疫学講座との共同研究によって得られ、8 ?29 ?付で「Communications Medicine」誌に掲載されました。</p>
<p/>
<p>【論文情報】</p>
<p>掲載誌:Communications Medicine<br/>論?タイトル:Harnessing an integrated glyco-nanovaccine technology for<br/>enhanced cancer immunotherapy<br/>著者:Mayumi Niimura, Yasuhisa Sakamoto, Mayuko Shimoda, Narumi Harada,Ayato Maeda, Shiho Wada, Koki Murata, Chanida Thinyakul, Saisai Liu, HarukaOhara, Asuka Iwamoto, Yohei Kanamori, Akihiro Nita, Masahiro Wakao, Yasuo Suda,Hiroyuki Oshiumi, Tomoko Hayashi, Dennis A. Carson, Hiroyuki Shinchi, ToshiroMoroishi<br/>DOI:10.1038/s43856-025-01102-3 ?</p>
<p/>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250905.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF845KB)</p>
<div/>
<div/>
<div> </div>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学 総務部総務課広報戦略室</p>
<p>電 話 : 096-342-3269</p>
<p>e-mail: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>
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2025/09/05 18:45:00 GMT+9
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PM2.5の構成成分であるブラックカーボンが 急性心筋梗塞のリスクを高める可能性 ~全国7都道府県?4万件超を対象とした疫学研究の成果~_澳门赌场
/whatsnew/byouin/250904
<![CDATA[<p>桜十字グループ、東邦大学、国立環境研究所、熊本大学、日本循環器学会の合同研究チームは、日本循環器学会が保有する大規模臨床データを基盤に、大気中の微小粒子状物質(<span>PM<sub>2.5</sub></span>)およびその構成成分の日単位濃度変動が急性心筋梗塞に及ぼす影響を検討しました。<span><br/> PM<sub>2.5</sub></span>のデータには、<span>2017</span>年に環境省が大気汚染物質モニタリング体制を強化する一環として全国<span>10</span>地点に設置した連続自動測定装置による測定結果を用いています。</p>
<p>その解析の結果、総<span>PM<sub>2.5</sub></span>濃度の上昇に伴い急性心筋梗塞による入院件数が有意に増加することを明らかにしました。さらに、<span>PM<sub>2.5</sub></span>の主要構成成分の一つであるブラックカーボン(黒色炭素)についても同様の関連が認められ、心筋梗塞発症の新たな環境リスク因子となる可能性を初めて示しました。</p>
<p>本研究成果は、<span>Springer Nature</span>社が発行する国際学術誌『<span>Communications Medicine</span>』に<span>2025</span>年<span>8</span>月に受理され、<span>9</span>月<span>4</span>日(木)<span>18</span>時<span>00</span>分(日本時間)にオンライン掲載されました。今後は、ブラックカーボンの発生源や<span>PM<sub>2.5</sub></span>構成成分ごとの健康影響メカニズムの解明を進めるとともに、より効果的な大気汚染対策の立案に資する研究が期待されます。</p>
<p><strong/></p>
<p><br/><考察と今後の展望><br/>本研究では、全国7都道府県の生活環境下におけるPM2.5測定データと、日本循環器学会の大規模臨床データを用いて解析を行い、<strong>入院当日からその前日にかけてPM2.5濃度が上昇すると急性心筋梗塞のリスクが増加する</strong>ことを明らかにしました。成分別の影響を全国規模で検証した研究は世界的にもまれであり、特にPM2.5の主要構成成分のひとつである<strong>ブラックカーボンが急性心筋梗塞と有意に関連することを示したのは国内初</strong>の成果です。</p>
<p>ブラックカーボンが心筋梗塞に関与する可能性のある仕組みとして、肺での炎症や酸化ストレスの誘発、血液中への微粒子移行の促進、腸内細菌叢(さいきんそう:細菌の集合体)の乱れ、自律神経や副腎機能の不均衡など、複数の経路が推測されています。</p>
<p>今回の結果では、総<span>PM<sub>2.5</sub></span>濃度とブラックカーボンとの相関は弱いことが示されました。これは、ブラックカーボンの一部は<span>PM<sub>2.5</sub></span>に含まれる他の成分と同じ発生源に由来する一方で、別の発生源からも放出されている可能性を示唆します。さらに、ブラックカーボンの<span>PM<sub>2.5</sub></span>に占める割合は小さいにもかかわらず、急性心筋梗塞との関連が認められたことは、<strong>総<span>PM<sub>2.5</sub></span>濃度以上にブラックカーボンへ注目すべきである</strong>ことを示しています。今後は、その発生源の特定が効果的な対策に直結すると考えられます。</p>
<p>これまで欧米を中心に<span>PM<sub>2.5</sub></span>と心筋梗塞との関連が報告されてきましたが、本研究は日本全国のデータを用い、発症時点を明確に特定できる症例を対象とした点で独自性があります。さらに、ブラックカーボンに焦点を当てた解析は世界的にも極めて先進的な試みです。今回の成果は、欧米で蓄積されつつある知見を日本で裏付けるとともに、ブラックカーボンが心筋梗塞リスク増大に関与する可能性を初めて示したものであり、国内外の環境保健政策に大きな示唆を与えるものです。</p>
<p>今後も<span>PM<sub>2.5</sub></span>の成分別に健康影響を検証し、得られた知見を政策立案や公衆衛生対策の強化に活かしていく必要があります。</p>
<p/>
<p><発表論文><br/>【タイトル】Components of particulate matter as potential risk factors for acute myocardial infarction<br/>【著者】Sunao Kojima, Takehiro Michikawa, Ayako Yoshino, Kenichi Tsujita, Takanori Ikeda, Yuji Nishiwaki, Akinori Takami<br/>【雑誌】Communications Medicine (2025年8月受理)<br/>【DOI】10.1038/s43856-025-01095-z<br/>【URL】https://doi.org/10.1038/s43856-025-01095-z</p>
<p/>
<p><span><詳細> </span><a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250829.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a></p>
<p><span><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/70f36c86-8683-4d2d-89c2-bcfe730ef710.png" title="icon.png" height="142" width="254" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/3f32ead3-7b39-4f7e-aaef-d50890a1bf4a.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" height="157" width="164" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></span></p>
<p><span><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></span></p>
<p><span/></p>]]>
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研究
2025/09/04 18:00:00 GMT+9
ページ
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日本人COVID-19感染回復者で誘導され、長期間維持される強力なキラーT細胞応答を発見_澳门赌场
/whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250904
<![CDATA[<p>【ポイント】</p>
<ul>
<li>日本人COVID-19感染回復者において、HLA-C分子に提示されるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質由来の新規T細胞抗原を同定した。</li>
<li>強力な抗ウイルス活性を有する<span>T</span>細胞を誘導し、感染から1年後も機能的な記憶T細胞として生体内で維持されていた。</li>
<li>機能的に優れたT細胞に備わった抗原認識機構を明らかにした。</li>
</ul>
<p>【概要】</p>
<p>ヒトレトロウイルス学共同研究センター<sup>注1</sup>熊本大学キャンパスの本園千尋 准教授、後藤由比古 大学院生(当時)(現:熊本大学大学院生命科学研究部 呼吸器内科学講座 医員)、上野貴将 教授、熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器内科学講座の冨田雄介 診療准教授、坂上拓郎 教授、熊本大学大学院生命科学研究部 血液?膠原病?感染症内科学講座の中田浩智 准教授、東海大学医学部医学科基礎医学系分子生命科学の中川草 准教授、富山大学学術研究部医学系の岸裕幸 特別研究教授、近畿大学理工学部応用化学科の北松瑞生 准教授らの研究グループは、日本人COVID-19感染回復者において、変異株間で保存され、且つ、HLA-C*12:02に提示されるヌクレオカプシドタンパク質由来のT細胞抗原を発見しました。</p>
<p>抗原特異的な細胞傷害性T細胞は強力な抗ウイルス活性を有しており、機能的な記憶T細胞として感染後1年が経過しても生体内で維持されていることを明らかにしました。さらに、ラ?トローブ大学<span>(</span>豪州<span>) </span>の<span>Prof. Stephanie Gras</span>らとの国際共同研究により、機能的に優れたT細胞に備わったT細胞受容体の抗原認識機構を明らかにしました。</p>
<p>本研究成果は令和7年8月28日午前10時(日本時間8月28日午後6時)に、英国科学雑誌「Nature Communications」オンライン版で公開されました。本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の「新興?再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業?課題名:澳门赌场に特異的なT細胞の抗ウイルス機能と抗原認識機序の解明」、「エイズ対策実用化研究事業?課題名:<span>HIV</span>感染細胞の異常を感知する新たなヒト自然免疫型<span>T</span>細胞の同定」、「新興?再興感染症研究基盤創生事業(多分野融合研究領)?課題名:抗ウイルス機能に優れたT細胞を誘導する人工T細胞抗原の開発」、熊本大学アマビエ研究推進事業、武田科学振興財団「医学系研究助成」、日本学術振興会科学研究費助成事業「基盤研究(B)ならびに(C)」、「国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))」、新日本先進医療研究財団「研究助成金」、公益信託今井保太郎記念エイズ研究助成基金からの支援を受けて、熊本大学大学院生命科学研究部(呼吸器内科学、血液?膠原病?感染症内科学)、東海大学 、富山大学、近畿大学、九州大学、九州医療センター、都立駒込病院、さらに、ラ?トローブ大学(豪州<span>)</span>との国際共同研究として行われました。</p>
<p/>
<p>[参考文献]</p>
<ol>
<li>Augusto, D. G. et al. A common allele of HLA is associated with asymptomatic SARS-CoV-2 infection. <strong><em>Nature</em></strong> 620, 128–136(2023).</li>
<li>Motozono, C. et al. SARS-CoV-2 spike L452R variant evades cellular immunity and increases infectivity.<strong><em> Cell Host Microbe</em></strong> 29,1124–1136 (2021).</li>
<li>Motozono, C. et al. The SARS-CoV-2 Omicron BA.1 spike G446S mutation potentiates antiviral T-cell recognition. <strong><em>Nat. Commun.</em></strong>13, 5440 (2022).</li>
</ol>
<p>?</p>
<p>[用語解説<span>]</span></p>
<p>(注<span>1) </span>ヒトレトロウイルス学共同研究センター</p>
<p>ヒト免疫不全ウイルス<span>(HIV-1)</span>やヒト<span>T </span>細胞白血病ウイルス<span>(HTLV-1)</span>などの難治性ヒトレトロウイルスの克服を共通目標に、熊本大学と鹿児島大学が大学の枠を越えて<span> 2019 </span>年<span> 4 </span>月に新設した研究センター。</p>
<p>?(注<span>2) </span>ヒト白血球抗原<span>(HLA</span>:<span>Human leukocyte antigen) </span></p>
<p>「自己」と「非自己」の識別などの免疫反応に重要な役割を果たす遺伝子複合体で、機能によってクラスⅠとⅡに分類され、それぞれ<span>CD8</span>陽性<span>T</span>細胞、<span>CD4 </span>陽性<span>T </span>細胞の認識に関わっている。<span>HLA</span>クラス<span>I </span>はヒトの全身のほぼすべての細胞に発現しており、<span>HLA-A, B</span>ならびに<span>C</span>アリルで構成されている。ウイルスが細胞に感染すると抗原提示機能によってウイルスタンパク質のペプチド断片(主に<span> 8-11 </span>アミノ酸から成るペプチド)が<span>HLA</span>クラス<span> I</span>分子に提示され、それを<span>T</span>細胞が<span>T</span>細胞受容体を介して認識することにより細胞性免疫が誘導?活性化される。血液型のように遺伝によって引き継がれる様々なタイプがある。</p>
<p>?(注<span>3) </span>抗原提示</p>
<p>細胞内の異物タンパク質を細胞内で分解し、その断片の一部を<span>HLA</span>分子に提示すること。ウイルス感染細胞ではウイルスタンパク質が分解され、そのペプチド断片を<span>T</span>細胞抗原として<span>HLA</span>分子に提示される。これにより、ウイルス抗原に特異的な<span>T</span>細胞の誘導が起こる。 </p>
<p>?</p>
<p><strong>(論文情報)</strong></p>
<p>論文名:<span>Molecular basis of potent antiviral HLA-C-restricted CD8<sup>+</sup> T cell response to an immunodominant SARS-CoV-2nucleocapsid epitope</span></p>
<p>著者:後藤由比古<span>#</span>、<span>You Min Ahn#</span>、豊田真子、浜名洋、<span>Yan Jin</span>、有津由樹、仲摩健、田嶋祐香、<span>Janesha C.Maddumage</span>、<span>Huanyu Li</span>、北松瑞生、岸裕幸、米川晶子、<span>Dhilshan Jayasinghe</span>、下野信行、長﨑洋司、南留美、遠矢嵩、関谷紀貴、冨田雄介、<span>Demetra S.M.Chatzileontiadou</span>、中田浩智、中川草、坂上拓郎、上野貴将、<span>Stephanie Gras*</span>、本園千尋<span>*</span></p>
<p>(#Equal first authors, *Co-corresponding authors) </p>
<p>掲載誌:<span>Nature Communications</span></p>
<p>doi:<span>https://doi.org/10.1038/s41467-025-63288-3</span></p>
<p>URL:<a href="https://www.nature.com/articles/s41467-025-63288-3?utm_source=rct_congratemailt&utm_medium=email&utm_campaign=oa_20250828&utm_content=10.1038/s41467-025-63288-3">https://www.nature.com/articles/s41467-025-63288-3?utm_source=rct_congratemailt&utm_medium=email&utm_campaign=oa_20250828&utm_content=10.1038/s41467-025-63288-3</a></p>
<p>?</p>
<p>【関係機関プレスリリース情報】ラ?トローブ大学<span>(</span>豪州<span>)</span></p>
<p><a href="https://www.latrobe.edu.au/news/articles/2025/release/protein-discovery-hope-for-longer-covid-protection">https://www.latrobe.edu.au/news/articles/2025/release/protein-discovery-hope-for-longer-covid-protection</a></p>
<p/>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250904.pdf">プレスリリース</a>(PDF432KB)</p>
<p/>
<p>?</p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" width="142" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" height="134" class="image-inline"/>??</p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>ヒトレトロウイルス学共同研究センター 熊本大学キャンパス</p>
<p>感染予防部門感染免疫分野</p>
<p>担当:准教授 本園 千尋</p>
<p>電話:<span>096-373-6824 </span></p>
<p>e-mail:<span>motozono</span>“<span>AT</span>”<span>kumamoto-u.ac.jp </span></p>
<p><span>※E-mail は上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。</span></p>
</address>]]>
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研究
2025/09/04 14:05:00 GMT+9
ページ
-
学校の先生の負担減! 特別支援教育に関わる先生の仕事をサポートするツール(AIチャットボット)をWebで公開_澳门赌场
/whatsnew/zinbun/20250901
<![CDATA[<p><strong>【ポイント】</strong></p>
<ul>
<li>特別支援教育は個々に応じた授業?教材研究が重要ですが、障害の多様化?重度重複化、教員不足などを背景に対応が難しくなっています。</li>
<li>教員の専門性向上と働き方改革を同時に解決することを目指して、生成AI技術を応用したチャットボットを開発?Web公開しました。</li>
<li>経験や知識の差の縮小、書類作成コストの節約によって、個々の特徴やニーズに応じた授業?教材研究が充実?促進されることが期待されます。</li>
</ul>
<p/>
<p><strong/></p>
<p><strong>(概要説明)</strong></p>
<p> 熊本大学大学院教育学研究科の本吉大介准教授らの研究グループは、特別支援教育に関わる先生方の仕事をサポートするツールとして、AIチャットボット(※)を開発し、この度、YU-tech AI Solutionへチャットボットの権利をライセンスし、同社のウェブ上にて公開をしました。</p>
<p> 特別支援教育は、子ども一人ひとりの特徴やニーズに応じた教育を実施するために、個々の教育課程編成、個別の指導計画等の書類作成、それぞれの子どもの特性に応じた授業?教材の準備、専門知識?技術を身につけるための研修など様々な取り組みが必要です。特別支援教育の対象となる子どもの増加、教員不足等を背景に、対応が難しくなってきている状況があります。</p>
<p> これら特有の業務を支援し、業務効率化と専門性の向上を両立することを目指してテクノロジーを応用した研究を推進し、手軽に使えるAIチャットボットの開発に至りました。</p>
<p> 今後、本研究の成果を起点に、学校現場における生成AIの効果的な活用に関する研究がますます加速することを期待しています。</p>
<p> 本研究はJSPS科学研究費の支援を受けて実施したものです(課題番号23K02737:特別支援教育における授業?教材研究を支援する情報プラットフォームの開発と実装)。</p>
<p>?</p>
<p><strong>(説明)</strong></p>
<p>[背景]特別支援教育に関わる教員の専門性向上と業務効率化の両立が求められています。</p>
<p>[研究の内容]生成AI技術を活用し、授業計画や学習指導案などを共に考えてくれるAIチャットボットを開発しました。</p>
<p>[成果]AIチャットボットが使用できるWebサイトは口コミで広がり、月間1万回以上のアクセスがあります。生成AIを使うことでの業務効率化が実感されている様子です。</p>
<p>[展開]生成AIの効果的な活用によって、教員の時間的な余裕、心身の余裕につながることが見込まれます。現代的な課題や個々のニーズに応じるための取り組みが学校内で活発化することを期待しています。</p>
<p>?</p>
<p><strong>[用語解説]</strong></p>
<p>(※)<strong>AI</strong><strong>チャットボット:</strong>日頃使うスマートフォンやパソコンでのチャットと同じように、人工知能が調べ物や相談、案内などに答えてくれる仕組みです。</p>
<p><span>?</span></p>
<p><strong>(<span>Web</span>サイトの情報)</strong></p>
<p>Webサイト名:学校<span>DX</span>化でわくわくをサポート</p>
<p>サイト<span>URL</span>:<a href="https://www.treasure-max.fun/">https://www.treasure-max.fun/</a></p>
<p>AIチャットボットリスト:<a href="https://www.treasure-max.fun/shien2/">https://www.treasure-max.fun/shien2/</a></p>
<p>【詳細】<a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250901.pdf">プレスリリース</a><br/><br/></p>
<p><strong/></p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/><span>?</span><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_04_ja_2.png/@@images/005730ae-3068-4da0-aaba-bb1847d862fb.png" title="sdg_icon_04_ja_2.png" height="134" width="142" alt="sdg_icon_04_ja_2.png" class="image-inline"/><span>?</span></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address><strong>お問い合わせ</strong><br/>
<p>(研究内容)</p>
<p>熊本大学大学院教育学研究科</p>
<p>担当:本吉大介</p>
<p>電話:096-342-2645</p>
<p>e-mail:<span>motoyoshi※educ.kumamoto-u.ac.jp</span></p>
<p>?</p>
<p>(会員登録など)</p>
<p>YU-tech AI Solution</p>
<p>HP:<a href="https://www.treasure-max.fun/">https://www.treasure-max.fun/</a></p>
上記<span>HP</span>からお問い合わせください<br/>(迷惑メール対策のため@を※に置き換えております)</address>]]>
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研究
その他
2025/09/01 13:00:00 GMT+9
ページ
-
水を吸って酸素がスイスイ動く? -次世代燃料電池を支える新しいセラミックスの秘密を解明-_澳门赌场
/whatsnew/sizen/20250828
<![CDATA[<p style="text-align: justify;"><span>【ポイント】</span></p>
<ul>
<li>セラミック材料(<span>Ba<sub>7</sub>Nb<sub>4</sub>MoO<sub>20</sub></span>)<span>(※1)</span>が水を吸い込むと、内部で酸化物イオン(<span>O<sup>2</sup></span><sup>–</sup>)(※2)の移動がより活発になることを発見</li>
<li>Ba<sub>7</sub>Nb<sub>4</sub>MoO<sub>20</sub>が水蒸気を取り込むことで、酸化物イオン(<span>O<sup>2</sup></span><sup>–</sup>)の動きが速くなり、電気をよく通すようになる仕組みを解明</li>
<li>燃料電池や水蒸気電解セルなど、クリーンエネルギー技術に欠かせないイオン伝導体の開発を大きく前進</li>
</ul>
<p style="text-align: justify;">【概要説明】</p>
<p style="text-align: justify;"/>
<p> 東京科学大学 理学院 化学系の八島正知教授、作田祐一特任助教(現?熊本大学産業ナノマテリアル研究所助教)、巾崎潤子研究員らの研究グループは、九州大学 カーボンニュートラル?エネルギー国際研究所の松本広重教授ら、および英国インペリアル?カレッジ?ロンドン 材料学科のスキナー?スティーブン(<span>SKINNER Stephen</span>)教授らとの国際共同研究により、水蒸気を取り込むことで、内部の酸化物イオン(<span>O<sup>2</sup></span><sup>–</sup>)が動き易くなる―そんな新しい機能を持つセラミック材料のしくみを明らかにしました。すなわち、水蒸気と反応(=水和)することで酸化物イオンが移動し易くなる現象を発見し、そのメカニズムを原子レベルで解明しました。この成果は、燃料電池や水蒸気電解セルなどの高効率化に貢献すると期待され、カーボンニュートラル社会の実現や<span>SDGs</span>(持続可能な開発目標)に資する重要な一歩といえます。</p>
<p> 本研究成果は、材料化学の国際学術誌「<em><span>Journal of Materials Chemistry A</span></em>」に、<span>2025</span>年<span>7</span>月<span>18</span>日(ロンドン時間)電子版として掲載され、同誌において特に優れた科学的意義?革新性?注目度が高い論文<span>HOT Papers</span>に選定されました。</p>
<p>【<span color="#000000" style="color: #000000;">今後の展開</span>】</p>
<p>今後は、今回解明された水和とイオン拡散の関係を応用し、より高性能なデュアルイオン伝導体の設計や最適化に取り組みます。また、他の材料系にも本知見を展開することで、次世代の燃料電池、電解セルおよびセンサーなどの材料への幅広い応用が期待されます。</p>
<p/>
<p>【用語説明】</p>
<p>(※1)</p>
<p><strong>Ba<sub>7</sub>Nb<sub>4</sub>MoO<sub>20</sub></strong>:バリウム、ニオブ、モリブデンおよび酸素から構成される酸化物。六方ペロブスカイト関連酸化物と呼ばれる物質群の<span>1</span>つである。この物質群はイオン伝導体として注目されており、六方ペロブスカイト関連酸化物のイオン伝導は、新しい研究分野である。今回合成した<span>Ba<sub>7</sub>Nb<sub>4</sub>MoO<sub>20</sub></span>は水和しており正確な化学組成は<span>Ba<sub>7</sub>Nb<sub>4</sub>MoO<sub>20</sub></span><em>y</em><span>?H<sub>2</sub>O</span>であるが、本記事では簡単に通常<span>Ba<sub>7</sub>Nb<sub>4</sub>MoO<sub>20</sub></span>と記す。</p>
<p>(※2)</p>
<p><strong>酸化物イオン(</strong><strong>O<sup>2</sup></strong><strong><sup>–</sup></strong><strong>)伝導体</strong>:外部電場を印加したとき酸化物イオン(O<sup>2</sup><sup>–</sup>)が伝導する物質を酸化物イオン伝導体という(酸素イオン伝導体ともいう)。この酸化物イオンが伝導することによる電気伝導度を酸化物イオン伝導度という。酸化物イオン伝導体には、純酸化物イオン伝導体や酸化物イオン<span>-</span>電子混合伝導体などがある。</p>
<p/>
<p><span>【論文情報】</span></p>
<p/>
<p>掲載誌:<em><span>Journal of Materials Chemistry A</span></em></p>
<p>論文タイトル:<span>Hydration-Driven Enhancement of Interstitialcy Oxide-Ion Diffusion</span>(水和により駆動される準格子間酸化物イオン拡散の促進)</p>
<p>著者:<span>Yuichi Sakuda, Mudasir A. Yatoo, Bhuvaneshwari Manivannan, Vediyappan Veeramani, Junko Habasaki, Stephen J. Skinner, Hiroshige Matsumoto, Masatomo Yashima* </span>(<span>*</span>責任著者)</p>
<p>DOI:<span>10.1039/D5TA04728E</span></p>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250828.pdf">プレスリリース</a>(PDF1279KB)</p>
<p><br/><br/></p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>???? <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_07_ja_2.png/@@images/aaab6e72-31b0-4f6e-aeb0-281c879eca6e.png" title="sdg_icon_07_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_07_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp
<p>(※を@に置き換えてください)</p>
</address>]]>
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研究
2025/08/28 14:00:00 GMT+9
ページ
-
2.5次元MOFの開発に成功! 高品質な単結晶を合成し多機能物性を解明 — 電子?陽子の同時伝導と1次元反強磁性を示すMOF材料 —_澳门赌场
/whatsnew/sizen/20250826
<![CDATA[<p style="text-align: justify;"><span>【ポイント】</span></p>
<ul>
<li>トリプチセン誘導体を用いて、<span>2</span>次元金属<span>–</span>有機構造体(<span>MOF</span>)の高品質単結晶(※<span>1</span>)合成に成功</li>
<li>電子?陽子の異方的な同時伝導と、水素結合による一方向反強磁性を実証</li>
<li>高精度な構造解析により、プロトン化カテコールの存在と水素結合ネットワークを初めて確認</li>
<li>構造は<span>2</span>次元でも、物性は層間方向に広がる「2.<span>5</span>次元<span>MOF</span>」という新概念を提唱</li>
</ul>
<p style="text-align: justify;">【概要説明】</p>
<p/>
<p> 熊本大学大学院先端科学研究部の張中岳(<span>Zhongyue Zhang</span>)准教授と、名古屋大学の阿波賀邦夫教授(現豊田工業高等専門学校校長)の共同研究グループは、<span>2</span>次元導電性<span>MOF</span>の研究において、長年の課題であった「高品質単結晶の合成」と「構造と物性の因果関係の解明」に世界で初めて成功しました。本研究では、三次元構造を持つトリプチセン誘導体を用いて層間の<span>π–π</span>相互作用を抑制し、ガラス管内での緩やかな拡散法により、<span>0.3mm</span>超の高品質単結晶の育成を実現しました。また、詳細な構造解析の結果、プロトン化されたカテコール部位が水素結合ネットワークを形成し、それが電子?陽子の異方的な同時伝導や、層間方向に生じる<span>1</span>次元反強磁性といった特異な物理特性を生み出していることを明らかにしました。</p>
<p> 以上より、構造は<span>2</span>次元でありながら、電荷?スピンの相関が<span>3</span>次元的に広がる新しい「<span>2.5</span>次元<span>MOF</span>」という概念を新たに打ち出しました。本成果は、構造<span>–</span>物性相関の理解を大きく前進させるものであり、将来的には量子情報デバイスや化学センサー、次世代電池材料などへの応用が期待されます。</p>
<p>? 本成果は令和7年7月23日にアメリカ化学会雑誌「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載されました。なお、本研究は日本学術振興会、公益財団法人ヒロセ財団、アメリカ国家科学財団(<span>NSF</span>)の支援を受けました。</p>
<p/>
<p>【論文情報】</p>
<p/>
<p>論文名:Triptycene-Based 2.5-Dimensional Metal?Organic Frameworks:</p>
<p>Atomically Accurate Structures and Anisotropic Physical Properties</p>
<p>from Hydrogen-Bonding Bridged Protonated Building Units</p>
<p>著者:Qi Chen, Amos Afugu, Yoshiaki Shuku, Zhen-Fei Liu, Kunio Awaga,* and Zhongyue Zhang*</p>
<p>掲載誌:Journal of the American Chemical Society</p>
<p>doi:<span>10.1021/jacs.5c08703</span></p>
<p>URL:<span>https://doi.org/10.1021/jacs.5c08703</span></p>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250826.pdf">プレスリリース</a>(PDF622KB)</p>
<p><br/><br/></p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>???? <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_09_ja_2.png/@@images/18ac5cdf-a729-4a68-b05f-2defc6e8fbe3.png" title="sdg_icon_09_ja_2.png" height="143" width="152" alt="sdg_icon_09_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3119<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp
<p>(※を@に置き換えてください)</p>
</address>]]>
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研究
2025/08/26 10:00:00 GMT+9
ページ
-
間葉性異形成胎盤発症におけるSCMC構成因子の関与を解明_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20250822
<![CDATA[<p>【概要説明】</p>
<p>間葉性異形成胎盤(<span>placental mesenchymal dysplasia: PMD</span>)は嚢胞状変化を示す稀な胎盤異常で、流早産や胎児発育不全などの合併症リスクが高く、約<span>20%</span>でベックウィズ?ヴィーデマン症候群が合併します。<span>PMD</span>は雄核発生細胞と両親性正常細胞のモザイクが原因と考えられてきましたが、当研究室は以前、約<span>3</span>割の症例が両親性ゲノムを保持すること(両親性<span>PMD</span>)、両親性<span>PMD</span>で複数のインプリント制御領域が低メチル化異常を示すことを報告しています。</p>
<p>今回の研究では両親性<span>PMD</span>妊娠を経験した7名の母親の末梢血<span>DNA</span>を対象に全エクソーム解析を行い、<span>Subcortical Maternal Complex</span>(<span>SCMC</span>)の構成因子である<span>NLRP</span>遺伝子のバリアントを同定しました(<span>NLRP5</span>複合ヘテロ(うち<span>1</span>つはフレームシフト)と<span>NLRP2</span>ミスセンスを同定。<span>NLRP5</span>フレームシフトは病的と評価。)。胎盤組織でメチル化解析を行った結果、複数のインプリント制御領域の<span>DNA</span>メチル化異常を検出しました。さらに、同一胎盤でも解析部位によって<span>DNA</span>メチル化異常部位が異なるモザイク様の分布を確認しました。これらの結果から、<span>SCMC</span>を構成する<span>NLRP</span>遺伝子の機能不全が受精直後のインプリンティング維持破綻を引き起こし、その細胞間ばらつきが胎盤組織内のモザイクとして現れ、両親性<span>PMD</span>に至る機序が示唆されました。また、両親性<span>PMD</span>は、複数のインプリント制御領域の<span>DNA</span>メチル化異常が検出されたことから、胎盤における<span>Multilocus Imprinting Disturbances</span>(<span>MLIDs</span>)と位置付けられることが示唆されました。</p>
<p>本成果は、長崎大学原爆後障害医療研究所人類遺伝学研究分野 長崎大学大学院卓越大学院プログラム 吉浦孝一郎教授、三嶋博之助教、熊本大学大学院生命科学研究部 産科婦人科学講座 大場隆准教授(現熊本総合病院副院長)との共同研究によるものです。</p>
<p/>
<p>【論文情報】</p>
<p>論文タイトル:<span>Variants of NLRP genes encoding subcortical maternal complex components are linked to biparental placental mesenchymal dysplasia</span></p>
<p>掲載誌名:<span>Human Genomics</span></p>
<p>公開日:<span>2025</span>年<span>8</span>月<span>19</span>日</p>
<p>DOI:<span>10.1186/s40246-025-00814-w</span></p>
<p>URL:https://link.springer.com/article/10.1186/s40246-025-00814-w?utm_source=rct_congratemailt&utm_medium=email&utm_campaign=oa_20250819&utm_content=10.1186/s40246-025-00814-w ?</p>
<p/>
<p>【用語解説】</p>
<ul>
<li>雄核発生細胞:父親の精子由来の核のみから発生する二倍体細胞。</li>
<li>モザイク:1つの受精卵由来の個体で、遺伝的に異なる細胞が混在している状態。</li>
<li>インプリント遺伝子とインプリント制御領域:インプリント遺伝子とは、父由来遺伝子と母由来遺伝子のうち、どちらか一方のアレルのみが発現する遺伝子。インプリント遺伝子は、インプリント制御領域のDNAメチル化によって発現が制御される。<span>DNA</span>メチル化異常などによりインプリント遺伝子の発現制御が破綻すると、ベックウィズ?ヴィーデマン症候群やシルバー?ラッセル症候群などのインプリンティング疾患が発症する。</li>
<li>MLIDs(<span>Multilocus Imprinting Disturbances</span>):複数のインプリント制御領域で<span>DNA</span>メチル化異常が同時に生じる現象であり、単一座位に限らないメチル化異常を示す状態。ベックウィズ?ヴィーデマン症候群やシルバー?ラッセル症候群などのインプリンティング疾患の一部の患者で見られ、臨床症状に影響を及ぼすことがある。原因としては、<span>SCMC</span>構成因子である<span>NLRP5</span>遺伝子などの病的バリアントが関与する場合がある。</li>
<li>SCMC(<span>Subcortical Maternal Complex</span>):哺乳類の卵子および初期胚に特異的に存在するタンパク質複合体。初期胚の発生に重要で、<span>DNA</span>メチル化維持や再プログラミングに関与する。<span>SCMC</span>構成因子である<span>NLRP5</span>遺伝子などの病的バリアントにより<span>MLIDs</span>が発症することが知られている。</li>
</ul>
<p/>
<p><strong/>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250822-2.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF201KB)</p>
<div/>
<div/>
<div> </div>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学 総務部総務課広報戦略室</p>
<p>電 話 : 096-342-3269</p>
<p>e-mail: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>
</address>]]>
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研究
2025/08/22 14:40:00 GMT+9
ページ
-
RNA修飾代謝による生体防御機構を解明-有害な修飾ヌクレオシドから体を守る仕組み-_澳门赌场
/whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250821-2
<![CDATA[<p>【ポイント】</p>
<ul>
<li>化学修飾されたRNA が代謝されると修飾ヌクレオシド(注1)が生じますが、その機能や意義については十分に解明されていませんでした。</li>
<li>本研究により、修飾ヌクレオシドのうち、毒性をもっているm6A, m6,6A,i6A(注2)の3 種が2 種類の共通の酵素によってIMP(注3)へ代謝され、無毒化する代謝経路が存在することがわかりました。</li>
<li><span style="text-indent: -0.6em;">この代謝経路は進化的に保存されており、とくに哺乳動物では糖代謝や脂質代謝と関連する可能性が示されたことで、今後、修飾ヌクレオシドと疾患発症の関連性について、より深い理解が進むことが期待されます。</span></li>
</ul>
<p>【概要】</p>
<p>RNA はさまざまな化学修飾を受け、現在までに約150 種類以上が同定されています。これまで、細胞内におけるRNA 修飾の役割については研究が進んでいましたが、RNA 修飾が代謝された後に生じる修飾ヌクレオシドの機能や意義については十分に解明されていませんでした。<br/>東北大学 加齢医学研究所の小川 亜希子助教(当時、現所属は薬学研究科准教授)、魏 范研教授、生命科学研究科の田口 友彦教授、医学系研究科の中澤徹教授らは、九州大学 生体防御医学研究所の渡部 聡准教授、稲葉 謙次教授、農学研究院の有澤 美枝子教授、熊本大学 生命資源研究?支援センターの荒木喜美教授、生物環境農学国際研究センターのアレン イールン ツァイ助教、澤進一郎教授らとの共同研究、およびライプツィヒ大学やハーバード大学などとの国際共同研究により、修飾ヌクレオシドのうち、m6A、m6,6A、i6A が毒性を持ち、酵素ADK とADAL によって無毒なIMP へ代謝されるという経路を発見しました。この経路が破綻すると修飾ヌクレオシドやその中間代謝物が蓄積して糖代謝や脂質代謝の異常が生じ、さらにはリソソームなどの細胞小器官(注4)の機能不全が起こることが毒性の原因であることを同定しました。</p>
<p>本研究によって同定された酵素の一部はすでにヒト疾患が報告されており、今後、修飾ヌクレオシドが病態解明や治療開発に繋がる可能性があります。<br/>本研究結果は2025年8 月20 日付で科学誌Cellに掲載されました。</p>
<p/>
<p/>
<p>[用語解説]</p>
<p>注1. 修飾ヌクレオシド:<br/>ヌクレオシドとは塩基と糖が結合した分子で、RNA の原材料の一つである。修飾ヌクレオシドとは、ヌクレオシドの塩基あるいは糖にメチル化やアセチル化などの修飾が施された分子である。<br/>注2. m6A, m6,6A, i6A:<br/>アデノシンの構造に特定のメチル基などが付加された修飾ヌクレオシド。詳細な構造は図2 を参照。<br/>注3. IMP(inosine monophosphate):<br/>イノシンモノリン酸の略で、アデノシンが代謝分解されることでできる中間代謝産物。エネルギー代謝にも関与する。<br/>注4. リソソームなどの細胞小器官:<br/>細胞内で特定の役割を担う構造体。リソソームは老廃物や不要物の分解を担う「細胞の清掃係」として知られる。</p>
<p><span>?</span></p>
<p><strong>(論文情報)</strong></p>
<p>論文名: Adenosine kinase and ADAL coordinate detoxification of modifiedadenosines to safeguard metabolism<br/>著者:Akiko Ogawa1,2*, Satoshi Watanabe3, Iuliia Ozerova4, Allen Yi-Lun Tsai5,6,Yoshihiko Kuchitsu7, Harrison Byron Chong8, Tomoyoshi Kawakami1,9, JirioFuse1,9, Wei Han10, Ryuhei Kudo11, Tomoki Naito12, Kota Sato13,14, Toru Nakazawa13-18,Yasunori Saheki12, Akiyoshi Hirayama11, Peter F Stadler4, 19-24,Mieko Arisawa10, Kimi Araki25,26, Liron Bar-Peled8,27, Tomohiko Taguchi7,Shinichiro Sawa5,6, Kenji Inaba3, and Fan-Yan Wei1,2*<br/>1) 東北大学 加齢医学研究所 モドミクス医学分野<br/>2) 東北大学 大学院 薬学研究科?薬学部 モドミクス薬学分野<br/>3) 九州大学 生体防御医学研究所<br/>4) ライプツィヒ大学 バイオインフォマティクスグループ<br/>5) 熊本大学 生物環境農学国際研究センター(IRCAEB)<br/>6) 熊本大学 大学院 先端科学研究部<br/>7) 東北大学 大学院 生命科学研究科 細胞小器官疾患学分野<br/>8) マサチューセッツ総合病院がんセンター<br/>9) 東北大学 医学部 医学科<br/>10) 九州大学 大学院 農学研究院 農業薬剤化学研究室<br/>11) 慶應義塾大学 先端生命科学研究所<br/>12) 南洋理工大学 Lee Kong Chian 医科大学</p>
<p>13) 東北大学 大学院 医学系研究科 神経?感覚器病態学講座 眼科学分野<br/>14) 東北大学 大学院 医学系研究科 視覚先端医療学寄附講座<br/>15) 東北大学 大学院 医学系研究科 眼科画像情報解析学寄附講座<br/>16) 東北大学 大学院 医学系研究科 網膜疾患制御学寄附講座<br/>17) 東北大学 大学院 医学系研究科 ウェルビーイングデザイン共同研究講座<br/>18) 東北大学 大学院 医学系研究科 健康社会システム創造共同研究講座<br/>19) マックス?プランク 数学科学研究所<br/>20) ウィーン大学 理論化学研究所<br/>21) コペンハーゲン大学 Center for Non-coding RNA in Technology and Health<br/>22) コロンビア国立大学 理学部<br/>23) サンタフェ研究所<br/>24) ライプツィヒ大学SECAI/ScaDS.AI/iDiv<br/>25) 熊本大学 生命資源研究?支援センター<br/>26) 熊本大学 健康長寿代謝制御研究センター<br/>27) ハーバード大学医学部 医学部門<br/>*責任著者:東北大学 薬学研究科 准教授 小川亜希子<br/>東北大学 加齢医学研究所 教授 魏 范研<br/>掲載誌: Cell<br/>掲載日: 2025年8 月20 日<br/>DOI: 10.1016/j.cell.2025.07.041<br/>URL: <a href="https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.07.041">https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.07.041</a></p>
<p/>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250821-2.pdf">プレスリリース</a>(PDF2,956KB)</p>
<p/>
<p>?</p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" width="142" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" height="134" class="image-inline"/>??</p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学総務部総務課広報戦略室</p>
<p>e-mail:sos-koho<span>@jimu.kumamoto-u.ac.jp</span></p>
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2025/08/21 14:10:00 GMT+9
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-
ビスマスフェライトにおける新たな結晶相の発見_澳门赌场
/whatsnew/sizen/20250820
<![CDATA[<p style="text-align: justify;"><span>【ポイント】</span></p>
<ul>
<li>電気を記憶する強誘電性や磁気を記録する強磁性を併せ持つ「マルチフェロイクス材料」であるビスマスフェライトの薄膜は情報記録やスピントロニクスなどの分野で応用が期待されている。</li>
<li>ビスマスフェライト薄膜の性質は原子配列を特徴づける「結晶相」によって決まる。</li>
<li>本研究では、先端電子顕微鏡により、ビスマスフェライト薄膜中に√2×√2の周期を持つ新しい結晶相を発見した。</li>
<li>これは次世代メモリやスピントロニクス、エネルギー変換材料の設計に新たな視点を提供する成果である。</li>
</ul>
<p style="text-align: justify;">【概要説明】</p>
<p> 熊本大学半導体?デジタル研究教育機構の佐藤幸生教授の研究グループは、名古屋大学未来材料?システム研究所/国際高等研究機構の永沼博特任教授と共同で、ビスマスフェライト(BiFeO<sub>3</sub>)の薄膜中に従来知られていなかった新しい結晶相が存在していることを発見したと報告しました。ビスマスフェライトは電気と磁気の性質を併せ持つ「マルチフェロイクス材料」として知られ、低消費電力メモリデバイスや超高感度磁気センサなど多用途に応用可能な先端材料です。その原子配列を特徴づける「結晶相」は基板材料の選択や薄膜の作製条件で変わることが知られており、電気的?磁気的な性質は結晶相に強く依存するとされています。加えて、薄膜内で複数の結晶相が混在することもあり、多彩で複雑であるため、結晶相の詳細やその分布を把握することは容易ではありません。</p>
<p> 今回の研究では、アルミニウム酸ランタン(LaAlO<sub>3</sub>)基板上に製膜されたBiFeO<sub>3</sub>について原子分解能での走査透過型電子顕微鏡(STEM)による観察を行いました。特に、結晶相を精密に判別するために、STEM像の歪み補正を行って、原子間の距離を高精度で測定しました。その結果、従来知られていなかった√2×√2の周期を持つ新しい結晶相が発見されました。本研究により、マルチフェロイクス材料における微視的な構造と機能の関係解明が進みます。今後は、メモリデバイスやスピントロニクス素子などにおける材料設計の最適化に貢献すると期待されます。</p>
<p> 本研究成果は令和7年8月2日に科学雑誌「<span>Journal of Alloys and Compounds</span>」にオンラインで掲載されました。本研究は文部科学省科学研究費補助金、学術変革領域研究<span>(B)</span>「超軌道分裂による新奇巨大界面応答」(<span>23H03803</span>、<span>23H03804</span>)および基盤研究<span>(B)</span>「誘電特性における界面効果の原子スケールメカニズム解明」<span>(</span>課題番号:<span>JP23K26382)</span>、<span>Core-to-Core</span>プログラム(<span>JPJSCCA20230005</span>)、名古屋大学研究力強化プログラムの支援を受けて実施されました。</p>
<p/>
<p/>
<p>【論文情報】</p>
<p>掲載誌:Journal of Alloys and Compounds<br/>著者:Yukio Sato, Hiroshi Naganuma<br/>論文名:Coexistence of √2 × √2 superstructure and monoclinic phases in a bismuth ferrite thin film via distortion-corrected scanning transmission electron microscopy<br/>URL:https://doi.org/10.1016/j.jallcom.2025.182622<br/>doi:10.1016/j.jallcom.2025.182622</p>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250820.pdf">プレスリリース</a>(PDF557KB)</p>
<p><br/><br/></p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>???? <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_09_ja_2.png/@@images/18ac5cdf-a729-4a68-b05f-2defc6e8fbe3.png" title="sdg_icon_09_ja_2.png" height="143" width="152" alt="sdg_icon_09_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3119<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp
<p>(※を@に置き換えてください)</p>
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研究
2025/08/20 13:20:00 GMT+9
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-
難病「アミロイドーシス」に“光”を。―アミロイドの無毒化による治療効果を初めて実証_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20250807
<![CDATA[<p>【ポイント】</p>
<p>◆世界的な高齢化を背景に、異常タンパク質の凝集?蓄積に起因するアミロイド疾患は近年、診断例が急増している。特に、トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)は、現状で臓器移植以外に根治療法はなく、多くの患者は体内に蓄積し続ける毒性のアミロイドを無毒化することができないまま死に至るという悲惨な現状がある。</p>
<p>◆この現状を一刻も早く改善すべく、本研究では光によって活性化され、空気中の酸素からアミロイドに対して親水性の酸素原子を化学反応により選択的に導入(光酸素化)することができる小さな触媒分子を開発し、アミロイドの無毒化を達成した。</p>
<p><br/> ◆高い反応性と選択性を併せ持つこの触媒は、患者由来のアミロイドに対しても光酸素化を実現し、さらに世界唯一の本疾患モデル動物である線虫の体内でも反応を進行させて、初めて治療効果を得ることに成功した。</p>
<p/>
<p>【概要説明】</p>
<p>東京大学 大学院薬学系研究科 有機合成化学教室 金井 求 教授と山根 三奈 特任助教らの研究グループは、同?機能病態教室 富田 泰輔 教授、堀 由起子 准教授、熊本大学 発生医学研究所 山中 邦俊 准教授、筑波大学 筑波大学医学医療系?トランスボーダー医学研究センター 広川 貴次 教授、京都大学 化学研究所 梶 弘典 教授、和歌山県立医科大学 相馬 洋平 教授、杉村会 杉村病院アミロイドーシス診療研究サポートセンター 安東 由喜雄 総長、熊本大学 大学院生命科学研究部 植田 光晴 教授、富山大学 薬学部 水口 峰之 教授の研究グループと共同で、難病「トランスサイレチンアミロイドーシス(<span>ATTR</span>)」に対し、新たな治療戦略を打ち出しました。</p>
<p>本技術の鍵となった触媒は、光と空気中の酸素を使った化学反応(光酸素化)により、疾患モデル動物個体内で毒性のアミロイドを無毒化することができ、治療効果を観察することに初めて成功しました。</p>
<p>本症に対する従来の治療法は、早期患者の症状を和らげ進行を遅らせる、あるいは健常者の発病予防に対してある程度の効果が見込めていました。しかしながら、ある一定のステージまで病気が進行してしまった患者において、既に体内に蓄積したアミロイドを無毒化?分解する効能はありませんでした。一方、本研究の特色である「アミロイド選択的な光酸素化」は、アミロイドの形成阻害に加え、不可逆的に沈着したアミロイドを化学反応により選択的に無毒化することで、動物個体で病態改善を実現可能とする小分子触媒の世界初の例となります。これまでに金井教授らは、アルツハイマー型認知症の原因物質<span>(</span>アミロイド<span>β</span>やタウ<span>)</span>を対象として種々の光酸素化触媒を開発してきましたが、臨床応用には至っていませんでした。本研究は、課題としていた治療効果の概念実証獲得を克服し、触媒的光酸素化法を臨床適用に繋げるマイルストーンを達成したと共に、これまで治療法が無かった患者にも有効な特効薬の開発につながることが期待されます。</p>
<p/>
<p><span>?</span></p>
<p>【論文情報】</p>
<p>雑誌名:Journal of the American Chemical Society<br/>題 名:Catalytic Photooxygenation Demonstrates Therapeutic Efficacy inTransthyretin Amyloidosis<br/>著者名:Mina Yamane, Hiroki Umeda, Moe Toyobe, Atsushi Iwai, Kuraudo Ishihara, Genki Kudo, Harunobu Mitsunuma, Yukiko Hori, Taisuke Tomita, Mineyuki Mizuguchi,Masamitsu Okada, Mitsuharu Ueda, Yukio Ando, Shigehiro A. Kawashima, Youhei Sohma, Hironori Kaji, Takatsugu Hirokawa, Kunitoshi Yamanaka,* Motomu Kanai*<br/>D O I:10.1021/jacs.5c06205<br/>U R L:<a href="https://doi.org/10.1021/jacs.5c06205">https://doi.org/10.1021/jacs.5c06205</a></p>
<p>??</p>
<p>【研究助成】</p>
<p>本研究は、科研費「特別研究員奨励費(課題番号:JP23KJ0559)」、「基盤研究S(課題番号:JP23H05466 )」、「基盤研究B ( 課題番号: JP25K02384 、JP24K02153 )」、「Core-to-CoreProgram(課題番号: JPJSCCA20220004)」、「JST Crest(課題番号:JPMJPR2279)」、「学術変革研究(課題番号:JP24H01787)」、AMED(課題番号:JP22ama121029j0003、JP25ek0109834)」、京都大学化学研究所?国際共共拠点「課題提案型研究課題(課題番号:2022-106)」および熊本大学発生医学研究所共同研究?共同利用支援により実施されました。</p>
<p/>
<p>?</p>
<p>【用語解説】</p>
<p>?(注1)アミロイド<br/>なんらかの理由によって、異常に折りたたまれたタンパク質が凝集してできた、線維状で不溶性の構造体のこと。これらは「クロスβ シート構造」と呼ばれる安定した立体構造をとり、体内で分解されにくく、臓器や組織に沈着して様々な臓器障害をもたらす原因となる。<br/>(注2)アミロイドーシス<br/>アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が体のさまざまな臓器や組織に重合?沈着することで、臓器の機能障害を引き起こす病気の総称。<br/>(注3)トランスサイレチン (TTR)<br/>生体で、甲状腺ホルモンやビタミンA の担体として機能するタンパク質のことで、何らかの理由によって構造が不安定化するとアミロイドを形成する。</p>
<p>注4)触媒<br/>化学反応において自らは変化?消費されることなく、反応の活性化エネルギーを低下させることで、反応速度を上げたり、特定の反応経路を選択的に促進したりする分子のこと。特に、少量でも反応を効率よく進行させることや、反応後も再利用可能であることが特徴である。従って、原理的には触媒医療では薬物投与量を極度に低下させることができる。<br/>(注5)光酸素化<br/>光のエネルギーを利用して酸素(O?)を反応に関与させ、分子中に酸素原子(元素記号:O)を導入する化学反応のこと。<br/>(注6)触媒医療<br/>化学触媒を用いて生体分子に対する選択的かつ繰り返し可能な変換を誘導し、触媒を通じて生体内の化学反応ネットワークに能動的に介入するという新しい疾患治療概念のこと。</p>
<p/>
<p><strong/>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250807.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF1,027KB)</p>
<div/>
<div/>
<div> </div>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学 総務部総務課広報戦略室</p>
<p>電 話 : 096-342-3269</p>
<p>e-mail: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>
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2025/08/07 14:00:00 GMT+9
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-
西南戦争が水前寺地域に及ぼした影響を解明_澳门赌场
/whatsnew/zinbun/20250725
<![CDATA[<p><strong>【ポイント】</strong></p>
<ul>
<li>明治10年(1877)の西南戦争が水前寺地域(熊本市中央区)に及ぼした影響が、細川家史料の分析から明らかになりました。</li>
<li>交通の要衝であった水前寺地域は、明治10年2月の西郷軍の熊本侵入にともない、県庁の移転候補となりました。また、同4月には立て続けに三度も戦場となり、地域住民の多くが避難する事態となりました。</li>
<li>水前寺成趣園(じょうじゅえん)の御茶屋「酔月亭(すいげつてい)」は西南戦争で焼失しましたが、具体的には政府軍の放火で焼失した事実が判明しました。</li>
</ul>
<p><strong>【概要説明】</strong></p>
<p>熊本大学永青文庫研究センターの今村直樹准教授らは、西南戦争時における旧熊本藩主細川家の記録「明治十年変動中日記等写」を分析しました。その結果、水前寺地域をめぐる以下の新事実が明らかになりました。</p>
<ul>
<li>明治10年2月19日、西郷軍の侵入を控えた熊本鎮台は、戦略上の観点から熊本市中に放火し、焼き払います。それにともない、当時古城(ふるしろ)にあった熊本県庁は最終的に御船へ移転しますが、移転先の候補には、細川家の砂取(すなとり)絞蝋所(こうろうしょ)(現旧熊本市立体育館跡地広場)があげられていました。</li>
<li>交通の要衝であった水前寺地域は、熊本城から脱出した政府軍vs西郷軍(4月8日)、川尻を追われた西郷軍vsそれを追う政府軍(4月14日)、砂取絞蝋所などに駐留した政府軍vs健軍?保田窪などに展開した西郷軍(4月20日)というように、短期間のうちに三度も戦場となりました。その結果、多くの地域住民が避難を余儀なくされました。</li>
<li>当時の水前寺成趣園には、1670年代に建てられた御茶屋「酔月亭」があり、それが西南戦争で焼失した事実は知られていましたが、具体的な経緯は不明でした。しかし、上記史料の分析により、4月8日、熊本城から脱出した政府軍(突囲隊(とついたい))による放火で焼失した事実が判明しました。</li>
</ul>
<p> 本研究の意義は、水前寺地域における西南戦争の展開とともに、当該地域の住民や細川家の関係者からみた戦争の実像を、初めて本格的に明らかにしたことにあります。</p>
<p/>
<p><strong>[本研究の意義]</strong></p>
<p>本研究には、以下の2点の意義があります。</p>
<ul>
<li><strong> </strong><strong>ほぼ未解明であった水前寺地域の西南戦争を明らかにしたこと</strong></li>
</ul>
<p> 水前寺地域の西南戦争については、前掲『県社出水神社略誌』に記されたように、水前寺成趣園の酔月亭の焼失、あるいは砲台を築くために富士築山(つきやま)が破壊されたことは知られていました。しかし、それ以外の事実が知られることはなく、水前寺地域はあまり西南戦争の影響がなかった、という印象が強いものと思われます。</p>
<p> これに対して、本研究では交通の要衝であり、細川家の拠点が置かれた水前寺地域が、熊本県庁の移転、突囲隊の脱出、城東会戦などの重要な局面で、西南戦争の大きな影響を受けていた事実を明らかにしました。西南戦争や水前寺地域の知られざる史実に新たな光をあてたことに意義があります。</p>
<ul>
<li><strong> </strong><strong>民衆史の視点に基づく西南戦争研究への寄与</strong></li>
</ul>
<p> 近年の西南戦争研究では、非戦闘員である民衆に戦争が何をもたらしたのかを追究すべき、との提起がなされています。本研究は、そうした提起に答え、地域や民衆が経験した西南戦争の意味を問うものとなっています。</p>
<p> いったん戦争が起これば、地域や民衆には具体的にいかなる影響がもたらされるのか。本史料は、そのような想像力を喚起させるものでもあります。熊本市民にとっても馴染み深い水前寺地域の約150年前の経験を通じて、突如として混乱状況に置かれ、一日も早く戦争の終結を求めた先人たちの姿を想起してもらえれば幸いです。</p>
<p/>
<p>[用語解説]</p>
<p>※西南戦争…明治10年(1877)、西郷隆盛が率いた鹿児島県士族を中心とする反乱。征韓論に敗れて帰郷した西郷が、士族組織として私学校を結成。政府との対立がしだいに高まり、ついに私学校生徒らが西郷を擁して挙兵、熊本鎮台を包囲したが、政府軍に鎮圧され、西郷は郷里の城山で自刃した。明治政府に対する不平士族の最後の反乱。西南の役。</p>
<p>[公開情報]</p>
<p> 「明治十年変動中日記等写」の解説および一部の翻刻文からなる今村直樹「西南戦争と細川家?水前寺(上)―砂取絞蝋所『明治十年変動中日記等写』について―」が、2025年8月下旬に刊行される『熊本史学』第105号(熊本史学会発行)に掲載予定です。</p>
<p>【詳細】<a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250725-2.pdf">プレスリリース</a><br/><br/></p>
<p><strong/></p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_16_ja_2.png/@@images/4cdbfc0a-04ef-4fff-8cae-7d0288f7a4be.png" title="sdg_icon_16_ja_2.png" height="123" width="130" alt="sdg_icon_16_ja_2.png" class="image-inline"/>? ??</p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address><strong>お問い合わせ</strong><br/>熊本大学永青文庫研究センター<br/>担当:准教授 今村 直樹<br/>電話:096-342-2301<br/>E-mail:eiseiken※kumamoto-u.ac.jp<br/>(迷惑メール対策のため@を※に置き換えております)</address>]]>
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研究
2025/08/06 00:00:00 GMT+9
ページ
-
血管が管をつくりながら枝を伸ばすしくみを解明 ―周りの硬さと血管内圧との力バランスの重要性―_澳门赌场
/whatsnew/seimei/copy_of_20250724
<![CDATA[<p>【概要説明】</p>
<p>宮崎大学医学部機能制御学講座血管動態生化学の花田保之助教、西山功一教授を中心とした研究グループは、血管を新しくつくる血管新生<sup>*1</sup>において、血管基底膜<sup>*2</sup>による血管周囲の硬さと、血流によってもたらされる血管内圧<sup>*3</sup>との力バランス<sup>*4</sup>が、管腔構造をつくりながら血管の枝を伸長するために重要であることを発見しました。本研究は、著者らが熊本大学国際先端医学研究機構(IRCMS)所属時に開始し、宮崎大学への研究室移転後継続して行ったものです。本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」に、2025年7月28日<span>(</span>月<span>)</span>18時(日本時間)にオンライン版で掲載されます。</p>
<p/>
<p>【研究助成】</p>
<p>本研究は、科学技術振興機構(JST)?戦略的創造研究推進事業(CREST)「生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出」(JPMJCR14W4)、日本学術振興会(JSPS)?科学研究助成事業?基盤研究(B)(19H04446、24K03267);挑戦的萌芽研究(26670394);基盤研究(C)(16KT0173);研究活動スタート支援(2K20743)、内藤記念科学奨励金?研究助成、アステラス病態代謝研究会?研究助成、ノバルティス研究奨励金、テルモ生命科学振興財団?研究助成、先進医薬研究振興財団?循環医学研究助成、中谷財団?開発研究助成、コスメトロジー研究助成、上原生命科学財団?研究助成、高松宮妃癌研究基金?研究助成金、第一三共生命科学振興財団?研究助成の支援を受けて実施されました。また、熊本大学、名古屋市立大学、日本医科大学、名古屋大学との共同で行ったものです。</p>
<p><span>?</span></p>
<p>【論文情報】</p>
<p>?論文タイトル</p>
<p><span>Biomechanical control of vascular morphogenesis by the surrounding stiffness</span></p>
<p><span>?</span></p>
<p>?著者名</p>
<p>Yasuyuki Hanada<sup>1, 2, 3</sup>, Semanti Halder<sup>1</sup>, Yuichiro Arima<sup>2</sup>, Misato Haruta<sup>1</sup>, Honami Ogoh<sup>1</sup>,<sup> </sup>Shuntaro Ogura<sup>4</sup>, Yukihiko Shiraki<sup>4</sup>, Sota Nakano<sup>1</sup>, Yuka Ozeki<sup>1</sup>, Shigetomo Fukuhara<sup>5</sup>, Akiyoshi Uemura<sup>4</sup>, Toyoaki Murohara<sup>3</sup>, Koichi Nishiyama<sup>1, 2, 6, *</sup>(<sup>*</sup>責任著者)</p>
<p>?</p>
<p>?所属</p>
<p><sup>1 </sup>Laboratory for Vascular and Cellular Dynamics, Department of Medical Sciences, University of Miyazaki, Miyazaki, Miyazaki 889-1692, Japan.</p>
<p><sup>2</sup> International Research Center for Medical Sciences, Kumamoto University, Kumamoto, Kumamoto 860-0811, Japan.</p>
<p><sup>3</sup> Department of Cardiology, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Aichi 466-8560, Japan</p>
<p><sup>4 </sup>Department of Retinal Vascular Biology, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, Nagoya, Aichi 467-8601, Japan</p>
<p><sup>5 </sup>Department of Molecular Pathophysiology, Institute for Advanced Medical Sciences, Nippon Medical School, 1-1-5 Sendagi, Bunkyo-ku, Tokyo, 113-8602, Japan.<sup/></p>
<p><sup>6</sup><sup> </sup>The Frontier Research Center, University of Miyazaki, Miyazaki, Miyazaki 889-1692, Japan.</p>
<p>?</p>
<p>?雑誌名</p>
<p>Nature Communications</p>
<p>DOI: 10.1038/s41467-025-61804-z</p>
<p>?</p>
<p>?URL</p>
<p>?https://www.nature.com/articles/s41467-025-61804-z</p>
<p><span>?</span></p>
<p/>
<p><strong/>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250725-1.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF983KB)</p>
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<div> </div>
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<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学 総務部総務課広報戦略室</p>
<p>電 話 : 096-342-3269</p>
<p>e-mail: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>
</address>]]>
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研究
2025/07/28 18:10:00 GMT+9
ページ
-
心臓の「音」からAIが病気を見抜く! ─心不全の早期発見?モニタリングへの応用に期待─_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20250724
<![CDATA[<p>【概要説明】</p>
<p>AMI株式会社(代表取締役CEO:小川 晋平)と熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学(研究代表者:辻田 賢一 教授)を中心とする研究グループは、心臓の音と心電図からAIで心臓の状態を推定する新技術を開発し、その成果が令和7年6月17日に医学専門誌「Circulation Journal」に掲載されました。本研究では、AMI社が開発した心音と心電図を同時に測定できるポータブルデバイス「心音図検査装置AMI-SSS01シリーズ(承認番号:30400BZX00218000)」と、AIの一種である「深層学習(ディープラーニング)」を組み合わせ、わずか8秒間の計測でBNP値を推定する技術を確立しました。この方法は非侵襲的かつ迅速で、患者様の身体的?時間的な負担を大幅に軽減できることが特長です。</p>
<p>将来的には、本技術を用いて心不全の早期発見や在宅でのモニタリングなどへの応用が期待されます。また、BNPは体格や腎機能、心房細動などの影響を受けやすいため、それらの因子を考慮したさらなるAIモデルの精緻化も進めてまいります。</p>
<p/>
<p>[背景]</p>
<p>高齢化が進む中、心不全という病気は増え続けています。心不全は、心臓が十分に働かず、体に必要な血液を送ることができなくなる状態を指します。この病気は特に高齢者に多く、再入院や死亡率が高いことが問題です。心不全を早期に発見して、適切な治療を行うことが大切ですが、これまでの診断方法にはいくつかの課題がありました。特に、血液検査でBNPやNT-proBNPという物質を測る方法は、時間がかかり、患者様にとって負担の大きいものでした。</p>
<p>?[研究の方法]</p>
<p>この研究は、BNPという心不全の診断に使われる重要なバイオマーカーの血液中の濃度を予測するための新しいモデル「eBNPモデル」の性能を評価することを目的として、複数の病院で行われた前向き観察研究です。eBNPモデルの性能を新たなデータを使って検証しました。</p>
<p>対象となったのは、心臓の超音波検査を受けた患者様です。心音データやECGのデータが不完全であるもの、透析を受けている患者様は除外され、1,035人の患者様から得られたデータを使い、モデルを訓練しました。データは訓練セットと検証セットに分けられ、深層学習(ディープラーニング)といった機械学習技術が使用されました。その後、実際の患者様のデータを使って、モデルがBNPレベルを正確に予測できるかどうかを検証しました。モデルが高いBNPレベルの患者様を正しく識別できるかどうかを評価するために、感度(高いBNPレベルの患者様をどれだけ正しく見つけられるか)と特異度(高いBNPレベルでない患者様をどれだけ正しく除外できるか)を測定しました。外部検証では別の病院の818人の患者様から選ばれた140人のデータを使用しました。</p>
<p>?[成果]</p>
<p>eBNPモデルは、外部検証データセットでも優れた性能を示しました。特に、BNPレベルが100 pg/mL以上の患者様を正確に識別する能力において、モデルは高い精度を誇りました。具体的には、受信者動作特性曲線(AUROC)で0.895というスコアを達成しました。また感度は84.3%、特異度は82.9%でした。これは、モデルが患者様を低BNPと高BNPのグループに分ける能力が非常に高いことを示しています。患者様の体格(BMI)によって、モデルの性能にわずかな差がありました。例えば高BMIの患者様(肥満)では感度がやや低く、BNPレベルを正しく予測する能力が少し低下しました。正常BMIの患者様では、モデルは非常に良い結果を示しました。</p>
<p>また、背景音(例えば、周りで話している声や呼吸音)がモデルの予測に与える影響も調べました。結果として、通常の臨床環境における会話程度の背景音であれば、モデルの性能はほとんど影響を受けませんでした。ただし、音が非常に大きくなると、精度が少し低下しました。</p>
<p>?以上から、この研究は、eBNPモデルがBNPレベルを正確に予測する能力を持ち、心不全の診断において有用であることを示しました。特に、実際の臨床環境でも高い精度を維持できることが確認されました。このモデルが導入されれば、心不全のリスク評価が迅速かつ正確に行えるようになり、患者様の診療に役立つ可能性があります。</p>
<p>?[展開]</p>
<p>今後、この新技術を使うことで、心不全の早期発見が可能になり、さらに患者様の状態をモニタリングすることができるようになります。特に、心不全の症状が軽いうちに見つけることができれば、早期に適切な治療を行うことができます。また、BNPの値は体格や腎臓の働き、心房細動などにも影響されるため、これらの要素を考慮したさらなる精度向上を目指して、研究は続けられます。</p>
<p><strong>(論文情報)</strong></p>
<p>論文名:<span>Deep Learning for Cardiac Overload Estimation — Predicting B-Type Natriuretic Peptide (BNP) Levels From Heart Sounds and Electrocardiogram —</span></p>
<p>著者:<span>Shimpei Ogawa, Masanobu Ishii, Shumpei Saito, Hiroshi Seki, Koshiro Ikeda, Yuhei Yasui, Tomohiro Komatsu, Ginga Sato, Noriaki Tabata, Mitsuru Ohishi, Takuro Kubozono, Naritatsu Saito, Eri Toda Kato, Xiaoyang Song, Masahiro Yamada, Shunsuke Natori, Yuki Kunikane, Takafumi Yokomatsu, Masashi Kato, Yasuaki Sagara, Nami Uchiyama, Nobuhiko Atsuchi, Shota Kawahara, Shoji Natsugoe, Kenichi Tsujita</span></p>
<p>掲載誌:<span>Circulation Journal</span></p>
<p>URL:<span><a href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-25-0098/_article/-char/en">https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-25-0098/_article/-char/en</a></span></p>
<p><span>?</span></p>
<p/>
<p><strong/>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250724-2.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF134KB)</p>
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<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学</p>
<p>担当:( 講師)石井正将、( 教授)辻田賢一</p>
<p>電 話 : 096-373-5175</p>
<p>e-mail: mishii4@kumamoto-u.ac.jp</p>
</address>]]>
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研究
2025/07/24 13:00:00 GMT+9
ページ
-
肺がん細胞の“助け合い”が治療効果を減弱させる新メカニズム ―細胞間ネットワークによる防御と、その弱点を突く併用療法の可能性―_澳门赌场
/whatsnew/seimei/20250718
<![CDATA[<p>【ポイント】</p>
<ul>
<li>肺がん細胞において、YAP/TAZ活性の異なる細胞同士が“助け合う”ことで、細胞死「フェロトーシス」に対する集団的な抵抗性を獲得することを明らかにした。</li>
<li>患者由来の検体とマウスモデルの解析から、GCH1という酵素が抗酸化物質BH4を産生?分泌し、がん細胞間で共有されることで、細胞死を回避する仕組みを示した。</li>
<li>がん細胞同士の協調によって生じる治療抵抗性という新たな概念を提唱し、がんの多様性に応じた次世代型治療戦略の構築に向けて重要な知見を提供した。</li>
</ul>
<p>【概要説明】</p>
<p>東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 難治疾患研究所 細胞動態学分野の諸石寿朗教授、および熊本大学 分子薬理学講座の李浩研究員(研究当時、現?関西学院大学助教)らの研究チームは、肺がんにおけるがん細胞の多様性が治療抵抗性に関与する仕組みを、患者検体の解析およびマウスモデルを用いた実験によって解明しました。<br/>研究チームは、がん細胞の増殖や転移に関わる分子であるYAPおよびTAZ(用語1)の活性に着目し、腫瘍内においてこれらの活性が異なる細胞群が共存する場合、患者の予後が悪化することを明らかにしました。さらに、YAP/TAZ活性が低い細胞は、鉄依存的細胞死であるフェロトーシス(用語2)に強い耐性を示すだけでなく、抗酸化物質BH4(テトラヒドロビオプテリン、用語3)を産生?分泌することによって、隣接するがん細胞も保護していることが判明しました。この防御機構の鍵となる酵素がGCH1(GTPシクロヒドロラーゼ1、用語4)であり、GCH1を阻害する薬剤とフェロトーシス誘導剤との併用によって、肺がんの治療効果が動物モデルにおいて大きく高まることを確認しました。<br/>これらの成果は、がん細胞間の“助け合い”によって生じる治療抵抗性という新たな概念を提示するとともに、フェロトーシスを標的とした新たながん治療戦略の開発に道を拓くものです。<br/>本成果は、熊本大学 微生物学講座、免疫ゲノム構造学講座、細胞病理学講座、呼吸器外科講座との共同研究によって得られ、7月6日(現地時間)付で「EMBO reports」誌に掲載されました。</p>
<p>●付記<br/>本研究成果は日本医療研究開発機構、日本学術振興会、科学技術振興機構、小林がん研究振興財団、高松宮妃癌研究基金、金原一郎記念医学医療振興財団、日本がん研究振興財団、加藤記念バイオサイエンス振興財団の支援を受けて実施したものです。</p>
<p><br/>【用語説明】<br/>(1) YAP(Yes-associated protein)およびTAZ(transcriptional coactivator with PDZ-binding motif):細胞内のシグナル伝達を担うタンパク質群で、細胞の増殖?分化?細胞死の制御に関与する。がん細胞の悪性化や治療抵抗性に深く関わる重要因子である。<br/>(2) フェロトーシス:細胞内の鉄イオンが過剰に反応し、脂質膜の酸化によって引き起こされる、新しいタイプの細胞死。がん治療の新たな標的として注目されている。<br/>(3) BH4(テトラヒドロビオプテリン):強力な抗酸化作用を持つ生体内物質。細胞内の活性酸素種を抑制し、特に脂質の過酸化を防ぐことで細胞を保護する働きがある。<br/>(4) GCH1(GTPシクロヒドロラーゼ1):BH4の合成において中心的な役割を担う酵素。抗酸化物質であるBH4の生産を促進し、細胞を酸化ストレスから守る。</p>
<p>【参考文献】<br/>[1] DOI: 10.1038/s41568-023-00591-5<br/>[2] DOI: 10.1038/nrc3876<br/>[3] DOI: 10.2174/138920111798357393</p>
<p>【論文情報】<br/>掲載誌:EMBO reports<br/>論文タイトル:Hippo pathway controls biopterin metabolism to shield adjacent cells from ferroptosis in lung cancer<br/>著者:Hao Li, Yohei Kanamori, Akihiro Nita, Ayato Maeda, Tianli Zhang, Kenta Kikuchi, Hiroyuki Yamada, Touya Toyomoto, Mohamed Fathi Saleh, Mayumi Niimura, Hironori Hinokuma, Mayuko Shimoda, Koei Ikeda, Makoto Suzuki, Yoshihiro Komohara, Daisuke Kurotaki, Tomohiro Sawa, Toshiro Moroishi<br/>DOI:10.1038/s44319-025-00515-4</p>
<p><span>?</span></p>
<p/>
<p><strong/>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250718-2.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF902KB)</p>
<div>※詳細及び画像も掲載しております。</div>
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<div> </div>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<p/>
<address>
<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学総務課広報戦略室</p>
<p>電 話 : 096-342-3269</p>
<p>e-mail: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>
</address>]]>
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研究
2025/07/18 11:25:00 GMT+9
ページ
-
ハサミムシにだって“好み”がある! ? 花資源の利用様式を解明 ?_澳门赌场
/whatsnew/sizen/release20250718-3
<![CDATA[<p><strong>(ポイント)</strong></p>
<ul>
<li>北海道の礼文島で同所的にみられるキバネハサミムシとコブハサミムシの訪花目的、利用する植物分類群(科)や訪花個体の発育段階(若虫<sup>*</sup>?成虫)の違いについて調査しました。</li>
<li>両種とも、花粉摂食を主目的にしてさまざまな植物分類群(計15科36種)の花、特にキク科とセリ科をよく利用するという実態を明示しました。</li>
<li>採餌源植物の利用状況には種?発育段階による違いがみられ、キバネハサミムシの成虫とコブハサミムシの成虫?若虫はキク科を、キバネハサミムシの若虫はセリ科を強く選好していました。その理由として、キバネハサミムシ若虫が先天的にセリ科の花を好む可能性に言及しました。</li>
</ul>
<p/>
<p><strong>(概要説明)</strong></p>
<p>熊本大学大学院先端科学研究部?准教授の杉浦直人と北九州市立自然史?歴史博物館?学芸員の竹下文雄は、ハナバチやチョウなどと同じく、花を訪れるハサミムシ類にも採餌源植物に対する選好性があることを明らかにしました。この知見は“訪花昆虫としてのハサミムシ”の生態の一端を初めて詳細に明らかにするものです。本研究の成果は令和7年<span>7</span>月<span>2</span>日に日本昆虫学会誌のEntomological Scienceにオンライン掲載されました。</p>
<p/>
<p>[今後の展開]</p>
<p>少なくとも礼文島では、キバネもコブも主に花粉摂食を目的としてさまざまな分類群の花、特にキク科とセリ科を利用するといえます。これら2つの分類群がよく利用されたのは、「どちらの科でも花上で花粉が露出しており、訪れさえすれば簡単に摂食できるから」と「礼文島では、夏から秋の時期にかけてキク科とセリ科に属する複数の種が大量に開花するから」という2つの事情に因ると考えられます。今後、訪花性ハサミムシ類の生存や成長?繁殖にとって花粉の摂取がどれくらい重要な意味をもつのか、飼育実験等も駆使して解明していく必要があると思います。</p>
<p> どうしてキバネではセリ科からキク科へと個体発生的な食物ニッチの移行が起きるのか、今回の調査結果からは説得力のある解釈(理由)を提示することができませんでした。ただ、「利用しようと思えば、キバネ若虫もキク科が利用可能だったこと」と「若虫の口器の形状に顕著な違いが認められないこと(杉浦, 個人的観察)」を考えあわせると、その理由を「①キバネ若虫は先天的にセリ科での採餌を好む可能性」や「②キバネとコブの若虫間に花資源をめぐる種間競争が生じ、キバネが排斥されている可能性」に求めるべきなのかもしれません。ただ、このうちの②については、礼文島では花資源をめぐる種間競争が生じるほど訪花個体数は多くなく、その可能性は低いと思われます。今後さらに「セリ科の花が利用できない環境下では、キバネ若虫がどんな花を利用しているのか?」「コブ若虫がいない環境下でもキバネ若虫はセリ科の花を選好するのか?」「礼文島以外の地域でも、コブはセリ科の花を利用しないのか?」といった各種の疑問に答えが提示できるよう、引き続き調査していくことが必要です。今回の私たちの報告がこれまで見過ごされてきた訪花性ハサミムシに目を向けるきっかけとなれば幸いです。</p>
<p/>
<p>[用語説明]</p>
<p>*若虫=バッタやカメムシといった不完全変態する昆虫における幼虫のこと。ニンフ(nymph)ともいう。</p>
<p/>
<p><strong>(論文情報)</strong></p>
<p>論文名:Notes on floral resource utilization in two sympatric earwig species (Dermaptera: Forficulidae)</p>
<p>著 者: Naoto Sugiura and Fumio Takeshita</p>
<p>掲載誌: Entomological Science</p>
<p>doi: 10.1111/ens.12600</p>
<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250718-3.pdf">プレスリリース</a>(PDF584KB)</p>
<p/>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>???? <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_15_ja_2.png/@@images/69826231-83a5-403b-bc72-0ee8456ad4e2.png" title="sdg_icon_15_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_15_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
<address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp
<p>(※を@に置き換えてください)</p>
</address>]]>
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研究
2025/07/18 09:00:00 GMT+9
ページ
-
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーモデルマウスの病態改善に成功~鉄代謝とフェロトーシス経路を標的にした新たな治療戦略~_澳门赌场
/whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250718-1
<![CDATA[<p>【ポイント】</p>
<ul>
<li>顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD) *1 の原因遺伝子DUX4*2 による細胞毒性に、骨格筋内への異常な鉄蓄積とそれに伴う鉄依存性細胞死フェロトーシス経路*3 の活性化が関与することを見出しました。</li>
<li>予想外に、FSHD マウスへの鉄投与は、骨格筋の異常鉄蓄積とフェロトーシス経路の活性化を抑制し、病態を劇的に改善しました。</li>
<li>FSHD マウスにフェロトーシス阻害剤フェロスタチン-1( Fer-1)を投与すると顕著な病態改善効果が認められました。</li>
<li>本成果から、鉄代謝*4 やフェロトーシス経路を標的にしたFSHD の新たな治療法開発が期待できます。</li>
</ul>
<ul/>
<ul>【概要説明】</ul>
<p>FSHDは、遺伝性かつ進行性の筋疾患で、現在根本的治療法はありません。FSHDでは、DUX4という細胞毒性をもつ転写因子が骨格筋に誤発現します。DUX4の誤発現はFSHDの発症要因になると考えられていますが、DUX4がどのように細胞毒性を発揮し骨格筋に障害を与えるのか、そのメカニズムについてはあまりわかっていません。<br/>今回、熊本大学発生医学研究所筋発生再生分野の中村晃大研究員、小野悠介教授らの研究チームは、DUX4 が誘発する細胞毒性に微量元素である鉄の代謝異常が関連することを見出し、FSHD の新規治療標的になり得ることを報告しました。<br/>本研究では、FSHD 患者およびFSHD モデル(DUX4-Tg)マウスの骨格筋において鉄が異常蓄積していることを観察しました。そこで体内の鉄を減らすと病態が改善すると予想し、検証しました。DUX4-Tg マウスに、鉄キレート剤の投与、低用量鉄含有食の摂餌、あるいは遺伝子改変から細胞内鉄取り込みを阻害したところ、予想に反し、筋力低下等のFSHD 病態は改善されず、むしろ悪化させました。一方、意外にも、高用量鉄含有食の摂餌または鉄製剤を静脈投与すると、DUX4-Tg マウスの筋内異常鉄蓄積、握力、走力、自発的運動量等は著しく改善されました。さらに、骨格筋に発現したDUX4 は、鉄依存性細胞死であるフェロトーシス経路を活性化させることを見出しました。フェロトーシス関連化合物ライブラリーを用いたハイスループットスクリーニング*5 を実施したところ、フェロトーシス阻害剤フェロスタチン-1( Fer-1)を同定しました。DUX4-Tg マウスにFer-1 を投与すると握力や走力に顕著な改善効果が認められました。<br/>以上の結果から、DUX4 が誘発する細胞毒性に鉄代謝異常をともなうフェロトーシス経路の活性化が関連することが明らかになりました。今後、さらなるメカニズムを解明し、有効かつ安全なFSHD 治療法の開発を推進します。<br/>本研究成果は,米国の医学雑誌「Journal of Clinical Investigation」への掲載に先立ち、令和7 年7 月1 日(米国東部標準時午後12 時)にIn-Press Preview版としてオンライン公開されました。<br/>なお、本研究は熊本大学発生医学研究所細胞医学分野の日野信次朗准教授、東京科学大学難治疾患研究所の諸石寿朗教授、東京科学大学高等研究府の中山敬一特別栄誉教授、国立精神?神経医療研究センター神経研究所の斎藤良彦リサーチフェロー、西野一三部長との共同研究で行ったものです。</p>
<p/>
<p/>
<p>[用語解説]</p>
<p>*1.FSHD:指定難病である筋ジストロフィーのひとつ。筋ジストロフィーの中では比較的患者数が多いと推定されている。<br/>*2.DUX4:細胞毒性を持つ転写因子でFSHD の原因遺伝子。通常、胚発生や生殖細胞に発現するが、骨格筋には発現しない。<br/>*3.フェロトーシス:鉄依存性の新たな細胞死の概念。過酸化脂質の蓄積を伴う。がん、神経変性疾患、心疾患など、さまざまな疾患との関連注目されている。<br/>*4.鉄代謝:細胞機能に必須の鉄は過剰になると細胞を障害するため、細胞内鉄濃度は厳密に制御される。鉄不足の状態では、トランスフェリン受容体(TFR)発現が増加し、細胞内鉄取り込みを促進する。細胞内のリソソーム、ミトコンドリア、フェリチンは細胞内鉄の貯蔵や利用を制御する。<br/>*5.ハイスループットスクリーニング:短時間で多数の化合物の効果を評価し、候補物質を効率的に特定する手法のひとつ。創薬、バイオマーカー探索に活用される。</p>
<p style="text-align: justify;">[特記事項]<br/>本研究は、日本医療研究開発機構( 難治性疾患実用化研究事業?微小環境異常に着目した顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの疾患発症メカニズムの解明と新規治療基盤の確立(JP25ek0109823))、創発的研究支援事業、日本学術振興会科学研究費助成事業、武田科学振興財団、アステラス製薬代謝疾患研究会の支援を受けて実施されました。?</p>
<p style="text-align: justify;">[参考文献]<br/>中村晃大、小野悠介.「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの基礎研究の現状」.難病と在宅ケア.25 巻.10-14 項.2019 年</p>
<p style="text-align: justify;"><br/>【論文情報】</p>
<p>論文名:Iron supplementation alleviates pathologies in a mouse model offacioscapulohumeral muscular dystrophy<br/>著者:Kodai Nakamura1, Huascar Pedro Ortuste Quiroga1, Naoki Horii1, ShinFujimaki1, Toshiro Moroishi2,3,4, Keiichi I Nakayama5,6, Shinjiro Hino7,Yoshihiko Saito8, Ichizo Nishino8, Yusuke Ono1,3,9*</p>
<p><br/>所属:<br/>1)熊本大学発生医学研究所 筋発生再生分野<br/>2)熊本大学生命科学研究部 分子薬理学講座<br/>3)熊本大学健康長寿代謝制御研究センター<br/>4)東京科学大学難治疾患研究所 細胞動体学分野<br/>5)東京科学大学高等研究府 制がんストラテジー研究室<br/>6)九州大学生体防御医学研究所 分子医学分野<br/>7)熊本大学発生医学研究所 細胞医学分野<br/>8)国立精神?神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部<br/>9)東京都健康長寿医療センター研究所 筋老化制御研究室<br/>*責任著者</p>
<p><br/>掲載誌:Journal of Clinical Investigation<br/>DOI: doi: 10.1172/JCI181881.<br/>URL: https://www.jci.org/articles/view/181881</p>
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<p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250718-1.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF567KB)</p>
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<p>?</p>
<p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" width="142" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" height="134" class="image-inline"/>??</p>
<p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>
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<p><strong> お問い合わせ</strong></p>
<p>熊本大学発生医学研究所<br/>担当:教授 小野 悠介<br/>電話:096-373-6601<br/>e-mail:ono-y<span>※</span>kumamoto-u.ac.jp<br/> (※を@に置き換えてください)</p>
</address>]]>
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研究
2025/07/18 09:00:00 GMT+9
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