精子の受精能を向上させる新規物質を発見
【ポイント】
- 環状オリゴ糖(シクロデキストリン)の一種であるジメチル-a-シクロデキストリン(DMACD)が、マウス精子の受精能を高めることを発見しました。
- DMACDは、これまでの定説であった生体膜からのコレステロールの流出を介さずに、新たなメカニズムで精子を活性化しました。
- 本知見は、精子における受精能の制御機構の解明やDMACDを活用した新たな体外受精技術の開発に繋がることが期待できます。
- 【概要説明】
熊本大学生命資源研究?支援センター資源開発分野の中尾聡宏研究員、竹尾透教授、生殖工学共同研究分野の中潟直己特任教授、同大学大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター医薬品包装学寄附講座の入江徹美特任教授、京都大学医生物学研究所の渡邊仁美助教、近藤玄教授は、環状オリゴ糖(シクロデキストリン)の一種であるDMACDが、マウス精子の受精能を高めることを発見しました。DMACDは、リン脂質を包接する性質を有しており、精子の生体膜からリン脂質の漏出を起こし、受精能獲得の誘起や体外受精における受精を促進することが明らかになりました。本結果により、DMACDは、これまでの定説であった生体膜からのコレステロールの流出を介さずに、新たなメカニズムで精子を活性化することが分かりました。
本知見は、精子におけるコレステロールを介さない新たな受精能獲得メカニズムの解明やDMACDを活用した新規体外受精技術の開発に繋がることが期待できます。
本研究成果は、令和5年2月1日付の米科学誌「Biology of Reproduction」電子版において公開されました。
*本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬基盤推進研究事業「マウスバンク機能の拡充による創薬イノベーションの迅速化」、日本学術振興会科学研究費助成事業、および京都大学ウイルス?再生医科学研究所の再生医学?再生医療の先端融合的共同研究拠点事業の助成を受けて行われました。
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【論文情報】
- 論文名:Dimethyl-α-cyclodextrin induces capacitation by removing phospholipids from the plasma membrane of mouse sperm
- 著者:Satohiro Nakao, Kotono Ito, Kazuhito Sakoh, Kenji Takemoto, Hitomi Watanabe, Gen Kondoh, Tetsumi Irie, Naomi Nakagata and Toru Takeo
- 掲載誌:Biology of Reproduction
- DOI:https://doi.org/10.1093/biolre/ioad013
【詳細】 プレスリリース(PDF323KB)
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お問い合わせ
熊本大学生命資源研究?支援センター 資源開発分野
担当:(教授)竹尾 透
(研究員)中尾聡宏
電話:096-373-6570
E-mail:takeo※kumamoto-u.ac.jp
?? naka-sato※kumamoto-u.ac.jp
(※を@に置き換えてください)