消化管での吸収を促進させる「小腸透過ペプチド」を発見-バイオ医薬品の経口投与薬開発に期待-

熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)微生物薬学分野の山口駿介 大学院生 (博士課程2年)、伊藤慎悟 助教、大槻純男 教授の研究グループは、高分子であるバイオ医薬品の消化管吸収を促進させることが可能な、「新規小腸透過ペプチド」を発見しました。現在の中?高分子医薬品であるバイオ医薬品は消化管吸収を担う小腸からほとんど吸収されないため、経口投与型バイオ医薬品開発のボトルネックになっています。今回、ヒト小腸吸収モデル細胞を用いたスクリーニングから、バイオ医薬品の小腸透過を可能とする新しい小腸透過性環状ペプチドを同定しました。この成果は、バイオ医薬品として最も汎用されているインスリン注射を始めとする様々な注射剤を経口投与薬として用いるための経口投与型ドラックデリバリーシステム開発に大きく貢献することが期待されます。
本研究成果は、文部科学省科学研究費補助金、熊本大学拠点形成研究事業および日本医療研究開発機構(AMED)創薬基盤推進研究事業の支援を受けて、「Journal of Controlled Release」に日本時間7 月27 日に公開されました。

【論文名】
Identification of cyclic peptides for facilitation of transcellular transport of phages across intestinal epithelium in vitro and in vivo

【著者名と所属】
Shunsuke Yamaguchi a , Shingo Ito a, b , Mio Kurogi-Hirayama a,b , Sumio Ohtsuki a,b

a Department of Pharmaceutical Microbiology, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kumamoto University, 5-1 Oe-honmachi, Chuo-ku, Kumamoto 862-0973, Japan
b Department of Pharmaceutical Microbiology, Faculty of Life Sciences, Kumamoto University, 5-1 Oe-honmachi, Chuo-ku, Kumamoto 862-0973, Japan

【掲載雑誌】
Journal of Controlled Release

【DOI】
DOI:10.1016/j.jconrel.2017.07.037
URL: https://doi.org/10.1016/j.jconrel.2017.07.037

【詳細】
プレスリリース本文 (PDF404KB)

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