肺難病疾患において亜鉛の供給メカニズムの破綻が病態に影響している事が判明
熊本大学大学院生命科学研究部 遺伝子機能応用学分野の亀井竣輔 大学院生、首藤剛 准教授らは、肺の難病の原因追求に取り組み、必須微量元素の一つ「亜鉛」の肺細胞への運搬異常が、閉塞性肺疾患の病気の進展に重要であることを世界で初めて明らかにし、その詳細な機序にmRNAの連結異常(mRNAスプライシング異常)が関わることを証明しました。
これまで、亜鉛の肺における重要性は、栄養学的な側面からしか理解されてきませんでしたが、今回の発見は、「亜鉛が、生命の根幹を担うmRNAの連結調節に影響し、肺疾患の発症に関わる」ことを世界で初めて明らかにするものです。本研究の成果は、基礎研究と医療を橋渡しするトランスレーショナル研究の成果を取り扱う、Cell PressグループとLancetグループのオープンアクセス誌「EBioMedicine」で平成29年12月20日に公開されました。
【論文名】
Zinc deficiency via a splice switch in zinc importer ZIP2/SLC39A2 causes cystic fibrosis-associated MUC5AC hypersecretion in airway epithelial cells
【著者】
Shunsuke Kamei
1,2
, Haruka Fujikawa
1,2
, Hirofumi Nohara
1,2
, Keiko Ueno-Shuto
3
, Kasumi Maruta
1
, Ryunosuke Nakashima
1
, Taisei Kawakami
1
, Chizuru Matsumoto
1
, Yuki Sakaguchi
1
, Tomomi Ono
1
, Mary Ann Suico
1
, Richard C. Boucher
4
, Dieter C. Gruenert
5
, Toru Takeo
6
, Naomi Nakagata
6
, Jian-Dong Li
7
, Hirofumi Kai
1
,*, and Tsuyoshi Shuto
1
,* (*責任著者)
【所属】
1
熊本大学大学院生命科学研究部 遺伝子機能応用学分野、
2
熊本大学博士課程教育リーディングプログラム「グローカルな健康生命科学パイオニア養成プログラムHIGO」、
3
崇城大学薬学部薬理学教室、
4
米国ノースカロライナ大学チャペルヒル校、
5
米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校、
6
熊本大学動物資源開発研究施設(CARD)、
7
ジョージア州立大学
【掲載雑誌】
EBioMedicine, 平成29年12月20日に掲載
【DOI】
URL:
http://www.ebiomedicine.com/article/S2352-3964(17)30506-6/fulltext
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.ebiom.2017.12.025
【詳細】
プレスリリース本文
(PDF687KB)
熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)
担当: 首藤 剛
電話: 096-371-4407
e-mail: tshuto※gpo.kumamoto-u.ac.jp(※を@に置き換えてください)