様々なバイオ化合物を安全かつ最高水準で細胞内に導入可能な変幻自在ポリマーを開発

【ポイント】

  • 本研究グループは、これまでゲノム編集分子 (Cas9 RNP) の形や電荷分布を認知して変形し、強く相互作用する変幻自在ポリマーを開発してきました。
  • 本研究では、変幻自在ポリマーが、Cas9 RNP のみならず、siRNA、アンチセンス核酸、タンパク質、メッセンジャー RNA 及び Cas12a (Cpf1) RNP など、多種多様なバイオ化合物に対して、安全かつ最高水準の細胞内導入効率を示すことを明らかにしました。
  • 変幻自在ポリマーは、あらゆるバイオ化合物に対するユニバーサルキャリアとして可能性を有しており、平時のみならずパンデミック時の医薬品開発などに役立つことが期待されます。

【概要説明】

 熊本大学大学院先導機構の東 大志准教授及び同大学大学院薬学教育部博士後期課程3年の田原春 徹大学院生らの研究グループは、これまで、ゲノム編集分子である Cas9 RNP という分子を高効率に細胞内に導入するためのキャリア「変幻自在ポリマー」を開発してきました。この変幻自在ポリマーは、Cas9 RNP の複雑な形や電荷分布を認知して変幻自在に変形し、強く相互作用する結果、細胞内に Cas9 RNP を高効率に導入することができます。この度、本研究グループは、変幻自在ポリマーがその変幻自在特性により、様々なバイオ化合物 (siRNA、アンチセンス核酸、タンパク質、メッセンジャー RNA 及び Cas12a (Cpf1) RNP) に対しても強く相互作用し、最高水準で細胞内に導入可能なことを明らかにしました。一般に、バイオ化合物を細胞内に導入するためには、化合物ごとにキャリアを設計する必要があり、非常に時間と労力を要します。今回の発見により、変幻自在ポリマーがあらゆるバイオ化合物に対して「これさえあれば大丈夫!」なユニバーサルキャリアとして有用であることが明らかとなったため、今後、平時のみならずパンデミックのような緊急時の医薬品開発にも役立つことが期待できます。

?? 本研究成果は、国際科学雑誌?Materials Today Bio?において、令和5年6月8日に公開されました。本研究は、科学技術振興機構研究成果最適展開支援プログラム産学共同 (育成型) (JPMJTR22U3)、文部科学省卓越研究事業、内藤記念科学振興財団、日本学術振興会特別研究員制度、若手研究者海外挑戦プログラム及び新製剤技術とエンジニアリング振興基金などの支援を受けて実施されたものです。

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【論文情報】

【詳細】 プレスリリース(PDF989KB)

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<熊本大学SDGs宣言>

お問い合わせ

熊本大学大学院先導機構
担当:准教授 ? 東 大志
電話:096-371-4168
E-mail:higashit@kumamoto-u.ac.jp
(※を@に置き換えてください)